
モラ夫の私への態度はともかく、子供に対する言動は改めさせたい。そこまで行かずとも、なんか気付きを与えられるような本はあるかな?

良い本を紹介するね。
ただしモラ夫・DV夫はきっと素直に手にしないから、読ませる作戦を練った方がいい。
本の選定基準
私は、我が子に虐待をした夫がいた立場で、この記事を書いています(別居済み)。私は毒親としての夫に読ませたい本を探し回っていました。
この記事では、毒親でも聞く耳を持ちやすい論調の本を選びました。
通常の毒親本のメインターゲットは成長した子供たちです。親の過ちを指摘したり、親を非難するような記述が普通にあります。中には親を手厳しく糾弾しているケースも。まあ、当たり前ですよね。
しかし親の言動を否定・非難する文章がそこかしこにあったら、毒親は最後まで読み進められません。
以下に挙げる著作は、いずれも子供だけでなく毒親自身が読むことも念頭に置いています。そのため毒親を頭から否定するような内容はなし。また、いずれも毒親の性別を固定するような書き方はしておらず、毒父にも毒母にも通用します。それぞれレビュー(書評)も公開していますので、詳しくはそちらをご確認ください。
おすすめの3冊
1.元毒母が書いた毒親本
まずは『気づけない毒親』(レビュー)を挙げます。著者は冒頭で次のように述べています。
子どもにとって毒になってしまった親たちを、責めるつもりは毛頭ありません。なにしろ、わたし自身が、「気づけない毒親」だったのですから。
この本は世にも珍しい「毒親が書いた毒親本」なのです。タイトルから分かるとおり、この本は「親の気づき」をテーマとしています。穏やかな記述と相まって、親の立場でも状況を理解しやすくなっています。著者と同じ毒母に、特におすすめです。
2.「マイルド毒親」向けの本
鴻上尚史さんが著した『親の期待に応えなくていい』(レビュー)が2選目です。
中高生をメインターゲットにしていますが、子供につい期待を押しつけてしまう親に向けたメッセージもあります。親にとってショッキングな「毒親」という呼称ではなく、「子供に期待をかけ過ぎる親」という体なので、親の拒否反応が出にくいのではないかと考えます。
※「毒親」という単語も数回くらいは出てくるが、糾弾はしていない
「親を喜ばせたい」「親の期待に応えないと罪悪感を覚える」などと子供が感じてしまうケースにおいては、特にお勧めです。
3.人生相談の本
最後に『鴻上尚史のほがらか人生相談』シリーズ(レビュー)をご紹介します。2選目の本と同じ著者。2022年11月時点で第4巻まで発刊済みです。
表紙 | タイトル |
---|---|
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幅広い人生の悩みに鴻上さんが神回答を連発しています。毒親関連の相談もたーっぷり。
「毒親に読ませる」という観点から、この本が優れているのは、人生相談の体なので誰でも読みやすいところ。
もう1点。毒親本人からも相談が寄せられており、それに続いて毒親へのアドバイスが書いてあるため。もし、ご自身を取り巻く状況と似た相談があれば、なおさら良い。
シリーズ3巻の 『鴻上尚史のますますほがらか人生相談』(レビュー)から、毒親(たぶん)本人からの相談の例を2つ挙げます。
- 相談7:息子は愛せるのに、娘のことをどうしても愛せず、憎しみすら感じます(39歳・女性)
- 相談22:昨年出産した娘から連絡がこず、どうしていいか分からない毎日です(57歳・女性)
自分が毒親じゃないかと気付いているパターンも、気付いていないパターンもあります。後者の場合は子供を悪者にしていたりするので、ご注意を。
もちろん、子供自身からの相談もあります。
なお、以下の記事で『ほがらか人生相談』に寄せられた悩みを分類し、一覧を掲載しています。タップ・クリックすると、親子関係の相談の一覧が表示されます。どのような毒親相談を取り上げているのか、ぜひご確認ください。
過去に選定した本
新たに発行される本もあるので、選定している本は、随時入れて替えています。
ご参考までに、かつて選定していた本をご紹介します。
淡々と毒親の心理を明らかにする本
『自分に気づく心理学』(レビュー)を挙げます。
この本は被害者(子供)のケアを目的としておらず、親が毒々しい行為を行うときにどのような心理なのかを淡々と分析していきます。情緒的な記述はほぼなく、加害者を責め立ても、被害者を労わりもしません。そもそも作中で「加害者」「被害者」といった用語は使われておらず、立場を二分して語っているわけではありません。つまり読者が置かれている立場によって、読みにくかったり読みやすかったりという影響が少なめです。
毒親・DV・虐待といった分野の本の著者は女性が多いですが、この本の著者は毒父の元で育った男性です。
毒親自身がその親に対して葛藤を抱えている場合に、特におすすめいたします。
虐待が子供の脳へ与える影響を明らかにする本
番外編的な位置づけで、『子どもの脳を傷つける親たち』(レビュー)を挙げます。夫や妻が子供(未成年)にとって毒親である場合に、パートナーから渡すタイプの本です。成人後の子供が毒親に読ませる用途には向いていません。
親から不適切な扱いを受けながら育つ子供が脳に受ける影響について、この本では明らかにしています。子供の心身を直接傷つけるタイプの虐待であっても、両親間の面前DVであっても、子供の脳の特定の部分が委縮または肥大。このことを脳のスキャン画像や統計データを利用して提示しています。
(※ だからといって、必ずしも子供が社会に不適応に育つわけでも、病を得るわけでもない)
事実を示す一方で、親を非難するような文章はありませんし、「毒親」「虐待」といった尖った用語も使っていません。
理論・理屈好きなタイプの毒親におすすめです。
毒親に毒親本を読ませるのは難しい
私自身の経験や、巷のブログの内容から考えるに、毒親に毒親本を読ませて気付かせるまでには、壁が3枚はあると感じています。
- 読み始めるまでの壁(自分からは手に取らない。子供やパートナーに言われて読みたくはない)
- 最後まで読み切るまでの壁(本に責め立てられていると思って、読まなくなる)
- 自分が加害者だと気付くまでの壁(自分こそがそのまた親の被害者だ、という方向に目が向く)


私がモラ夫に読んでもらいたいと思った本や記事はたくさんありましたが、ついに1冊たりと読ませられずに別離しました。
当時関わりのあった、児童家庭支援センター(相談体験)の相談員から、ある記事のコピーをさりげなくモラ夫に渡して勧めてもらったことも。モラ夫はその場では「あとで読む」と言いながらも、結局読みませんでした。
私がモラ夫に本を読ませるのに失敗した理由のひとつに、戦略不足があったと考えています。こちらが冷静でないときに本を押しつけても、読むわけなかった……。
私の失敗談が参考になるとしたら、毒親に読ませたい本が見つかったら、いったん立ち止まって毒親本を渡すシチュエーション、言うセリフ、毒親がしそうな反応なんかをよーく考えることをご検討ください。
まとめ
- 気づけない毒親
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