★★★★★ 大人気シリーズ
鴻上尚史氏が、雑誌の読者から寄せられた人生相談(27件)に答える。実践可能な具体策を鮮やかに提示する。シリーズ第3巻。
レビュー
本のあらすじ・位置づけ
読者の悩みに鴻上さんが回答する本の第3弾です。
詳細な本の位置づけについては、第1巻に相当する『鴻上尚史のほがらか人生相談――息苦しい「世間」を楽に生きる処方箋』のレビューに記載しています。よろしかったら、併せてご確認ください。
タイトルが紛らわしいですが、『ほがらか人生相談』の手前に、何もなし・「もっと」が付く・「ますます」が付く・「なにがなんでも」が付く、の順で1巻・2巻・3巻・4巻です。このノリでいくと、10巻とかはどうなっちゃうのか、今から楽しみ ♪
さて、今回取り上げる第3巻(ますます)では、29件の相談に乗っています。時に励まし、時に気付きを与え、時にユーモアを交えながら、鴻上さんは神回答を繰り返します。
ちなみに私が「神」回答だと思う理由は、アドバイスが実践的で、とりあえず何から手を付けたらいいかが明確に分かるから。
親、義理親、パートナー、子供など家族に悩む人も、友だち・職場の同僚・学生時代の教師なんかに悩む人も、あるいは自分自身に悩む人も、鴻上さんに相談を寄せています。
シリーズを通じて、なかなかヘビーな相談が多いです。イヤなヤツって、バラエティに富んでいるんですね。
その中に、「6年間、中高一貫男子校で過ごし、女子への接し方がわからないです」という悩みを寄せた、大学入学前の男子高校生がいました。鴻上さんは回答の冒頭で、以下のように感想を述べています。
いやあ、『ほがらか人生相談』というタイトルに相応しい相談が、久しぶりに来ました。たいていは、全然、ほがらかじゃない人生相談ですからね。
大丈夫だ! 男子高校生!
感想等
この本に掲載されている相談の中で、一番、私の心に残ったのは「夫が自室にこもり家族との接触をしない真意はどこにあるでしょうか?」という相談です。実際のところ、本が発刊される以前にAERAのサイトに掲載されていたときに(現在は削除済)読んでから、ずっと覚えていました。
相談者の質問を読みながら「(相談者の夫は)なんかウチのモラハラ夫と似ているなあ」と思っていました。次のようなところが。
- 夫は自室にこもって仕事と自分の趣味で外出する以外は出てこない( ← ウチも! どうしても必要なことはLINEで連絡が来た)
- 夫自ら家を出る宣言をしていた( ← 私は「出て行け!」って言われた)
そして相談者である妻の気持ちは、私とまったく同じでした。
- 自宅において自分の好きなタイミングで何かをできない状態は、私(妻)なら嫌だと思う
- こんな姿をいつまでも子供たちに見せるわけにいかない
- 離婚を考えています( ← 私は離婚しました)
続いて、鴻上さんの回答の最初の文を読んで、思わず「えっ!」と声が出ました。
ジャムさん。大変ですね。ジャムさんの相談を読んで、「ああ、私のパートナーもそうなんだ」と思っている人は少なくないと思います。
まあ私もその一人なんですが、世の中に少なくないんですね……。当てはまる方は、ぜひ鴻上さんの回答をご確認ください。
また、この本では非常に幅広い人生の悩みを扱っています。書き下ろしの「あとがきにかえて」で鴻上さんが「なるべく違う種類の質問に答えようとしています」と述べているとおりです。もしかすると、ちょうど困っていることに対するヒントが得られるかもしれません。よろしかったら、ご一読ください。
なお、以下の記事では『ほがらか人生相談』に寄せられた相談内容を分類して掲載しています。お役に立ちそうな相談がないか、ぜひご確認ください。
まとめ
鴻上尚史氏が、雑誌の読者から寄せられた人生相談(29件)に答える。実践可能な具体策を鮮やかに提示する。シリーズ3冊目。
★★★★★ (対応方法が具体的でイイ!)
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