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鴻上尚史氏が、雑誌の読者から寄せられた人生相談(32件)に答える。実践可能な具体策を鮮やかに提示する。シリーズ4作目。
レビュー
本の内容
作家・演出家の鴻上尚史氏が、読者から寄せられた人生相談に答えます。シリーズ4作目。
取り上げられている相談は多岐に渡ります。違うタイプの相談に答えると、鴻上さんは再三再四表明されていますが、その通りになってる! サンプルとして、いくつか相談をピックアップしましょう。
まず、このサイトでも扱っている毒親関連の相談をひとつ。
相談10)毒親、毒兄の呪縛から未だに解放された感じがしません(43歳・女性)
相談者はとっくに親・兄と関係を断っていて、心理的な「呪縛」に悩んでいます。そんな方に「気にする必要はない」などと通り一遍のセリフを吐くだけでは、何の意味もなさないですよね。
このような精神論的な問題に対してこそ、鴻上さんの真骨頂が発揮されています。なぜ親・兄に囚われてしまうのか詳らかにし、頼るべき存在を確認して、親・兄と関係なく自分の人生を歩むように何度も説いています。
続いて片付けについて。
相談6)片付けられない私が、結婚することになりました(31歳・女性)
鴻上さんも片付けが苦手だそうです。それでも、本や書類が山積みで何年も床が見えない仕事部屋から、真摯に回答されています。
また、ほがらか人生相談では校則に関係する悩みが何度か取り上げられていますが、今作でも登場。
相談15)校則を潰そうと教師になりましたが、潰せません(38歳・女性)
これは相談内容も回答も、もはや個人の人生の域を超えて、社会問題に切り込んでいます。「あとがきにかえて」には、鴻上さんが相談者のことを念頭に、イミフな校則を撤廃した校長先生と対談し、対談内容を本にまとめたことが記されています。
その他の悩みとしては、恋愛、子育て、職場の人間関係などあり。全般的に内容は「ほがらか」ではありませんし、「人生」相談とも限らない……。ん? タイトル詐欺?
本の位置づけ等については、シリーズ1作目のレビューをご参照ください。
感想等
書き下ろしの「あとがきにかえて」を、私はいつも楽しみにしています。なぜなら、ここには「ほがらか人生相談」のメタ情報が書いてあるんですよ。前作までに語られてきたのは、鴻上さんがなぜ人生相談に答えるようになったのか、どういう方針で回答しているのか、などです。今作では、どういうふうに問題を伝えられたいか、が載っていました。ちょっぴり引用します。
僕は同じ問題を報告されるなら、絶望している人からではなく、「なんとかしましょう」と踏ん張っている人から聞きたいと心底思いました。
理由としては、とても深刻な問題でも「なんとかしよう」という気力が沸くから、です。絶望した人相手だと、鴻上さんもダメージを受けることも書かれていました。
これを知り、私は色々と思ったわけですよ。こんなに自分ごととして捉えているのか、とか(私だったら我が子とかにしか、そこまで感情移入できない)。そんなに問題解決を目指しているのか、とか(共感してほしいだけ、というスタンスには立たない)。
そんな訳なので、自分が抱えている問題と関連する相談が本の中で見つかったら、ぜったいに役に立ちます。ぜひお手に取って、ご確認ください。
また、以下の記事で『ほがらか人生相談』に寄せられた相談内容を分類して掲載しています。お役に立ちそうな相談がないか、ぜひご確認ください。
まとめ
鴻上尚史氏が、雑誌の読者から寄せられた人生相談(32件)に答える。実践可能な具体策を鮮やかに提示する。シリーズ4作目。
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