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「共依存」について分かりやすく解説。自己否定感や感情の否認といった共依存の特徴などを説明したあとに、対処法を掲載。
自分が「共依存かもしれない」と思う大人にも。
レビュー
10代の子供に向けて「共依存」がどのようなものかを解説し、対処する方法を述べた本です。自分が「共依存かもしれない」と思う大人にも役立ちます。
「セルフケア」というシリーズ名が付いていますが、専門家への相談を呼び掛けている箇所があるので、念のため最初に引用します(太字は私が強調)。
本書を読んで、自分の記憶や感情があふれだして、自分ひとりでは対処できない場合には、読むのをやめてカウンセラーに相談してください。話を聞くプロとして訓練された人や理解のある人に自分の秘密を話すと、自己否定感を軽くする助けが得られます。誰だってときには助けてもらう必要があります。自分で何もかもしなければならないと信じこんで生きている共依存の人には、とくに助けが必要です。
私(大人)は、この若者向けの本を読んで、機能不全家族の文脈で語られる「共依存」について、ようやく理解できました。よくアルコール依存症の夫とその妻の関係が例に挙げられます。これはオリジナルの意味合いにおけるサンプルで、「共依存」という用語もその「依存症」から来ています。しかし「共依存」という言葉で指す範囲は、家庭内に依存症の人がいないケースにまで広がりました。この点について、丁寧な解説がなされています。
なお監訳者あとがきに、内容が簡潔にまとめられているので、一部引用します。
こうして1970年代から使われてきた共依存の意味が、その後少しずつ変わってきました。現在では、問題状況(生まれ育った家族や不健康な社会)のなかで成長し、「自己否定感や空虚感を抱え、それを即効性のある激しい行動で満たそうとすること」という意味で使われることが多くなりました。要するに、こころの痛みを不健康な自己治療で癒そうとするのが共依存行動なのです。
「監訳者あとがき」
この本の目次は次のとおりです。
- はじめに…共依存かもしれないと思ったら
- 共依存ってなに?
- 共依存のウソとホント
- どうして共依存になるの?
- インナーチャイルド(内なる子ども)とは
- 自己否定のゲームに打ち勝つ
- 自分の感情に向きあう
- 気持ちを伝える
- 信頼することを学ぶ
- 境界線を設ける
- 自分の人生を引きうける
- 共依存をつくりだす社会とは
- 監訳者あとがき
共依存の解説だけでなく、心理的にそこから脱却するための対処法が順を追って掲載されています。分かりやすいので、大人の方にもおすすめです。
「10代のセルフケア」シリーズ
表紙 | 本 |
---|---|
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![]() | 共依存かもしれない――他人やモノで自分を満たそうとする人たち [Amazon |
![]() | もしかして妊娠――そこからの選択肢 [Amazon |
![]() | わたしの家族はどこかへん?――機能不全家族で育つ・暮らす [Amazon |
![]() | 傷つけられていませんか?――虐待的な関係を見直す [Amazon |
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まとめ
共依存について解説したあと、心理的に脱却するための対処法を順を追って掲載。
★★★★★ (分かりやすいので大人にも)
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