モラハラ本 今・むかし

過去の私
過去の私

「モラハラ」って言葉、今や市民権を得たよね?

今の私
今の私

 そうだよね。

 私が「(元)夫がやっているのはモラハラだ」って初めて気付いた頃とは隔世の感がある。

 明けましておめでとうございます。今年(2023年)最初の記事です。

 年の移り変わりのタイミングで、「モラハラ」を扱った書籍の変遷について、私なりに分析します。モラハラ本を選ぶ際のヒントにでもなれば、と思っています。

 私は、自分の夫がモラ夫だと気付いたときから、離婚成立後の今も、モラハラ関連の書籍や調査書、ブログ(体験談)を読み漁っている、モラハラ本ウォッチャーです。

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モラハラ本 今昔物語

Before モラハラ

「モラハラ」という用語が世に出回る前から、一部の家庭ではモラハラって行われてましたよね。外部と断絶された家の中でモラハラがはびこっていても、それを端的に表す言葉が無かっただけで。

 一方で、家族の言動に苦しんだり悩んだりする人のために、問題の本質を詳らかにしたり、解決策を紹介する本もありました。もちろん「モラハラ」という単語は使わずに、です。

 良書を1冊挙げます。『となりの脅迫者ーー家族・恋人・友人・上司の言いなりをやめる方法』(レビュー)です。『毒になる親』(レビュー)の著者 スーザン・フォワード氏が著しました。『となりの脅迫者』の発行に先立ち、別のタイトル『ブラックメール――他人に心をあやつられない方法』で、初めて訳書が発行されたのが1998年のことです。

 モラハラ自体は、昔からあるんですよねえ(昔のほうがヒドい?)。

モラハラ黎明期

モラル・ハラスメント――人を傷つけずにはいられない』(1999年12月に訳書発行レビュー)。

 モラハラという言葉が、専門家だけでなく一般の人々の耳や目に届くようになったきっかけは、この本だと言われています。タイトルに「モラル・ハラスメント」とか「モラハラ」とか「モラ夫」とか「モラ妻」とか入る日本語の本は、これが初です。出版から20年以上経過していますが、今なおバイブルのように読み継がれています

 その後、刊行された本では、こっぴどいモラハラを扱っているものばかり。いきおい「逃げるが勝ち」「離婚しかない」という論調になっていました。体験談をつづったものも、離婚へと至る成功譚でした。

 当時は「モラハラ」という言葉さえ知らない人が大半だったので、それが正解だったと思います。被害を受けている当人に注意を喚起するという意味でも、離婚調停に携わる調停委員・調査官・裁判官・弁護士にも理解してもらうという意味でも。なにせ暴力を振るわなければオッケー、怪我をさせなければセーフ、みたいな時代でしたから。

 そんな環境の中で発行されたモラハラ本からは、訳も分からず苦しんでいる人を救いたい、という並々ならぬ情熱を感じます。「モラハラ」についての解説も、しっかりなされている印象です(最近の本は、読者がある程度はモラハラを知っている前提で書かれていたりする)。ただ、事態の打開策については、今の世の中のほうがバラエティに富んでいます。どなたもいきなり離婚に突き進んだりはしないでしょうが、ハードな論調にはご注意を。

 私の一押しのモラハラ本は『カウンセラーが語るモラルハラスメント――人生を自分の手に取りもどすためにできること』(レビュー)です。

 この本の内容は、モラハラについての解説、子供への影響、対処法など網羅的です。対処法の一つとして、なるべくモラハラから遠ざかるように指南していますが、離婚一択ではなく他の選択肢も挙げています。自分がどうしたいのか、よく考えるように促していて、そういった過去ではなく未来に向けたアドバイスが、病んで曇っていた私の心に気付きをもたらしました。

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モラハラ成長期

 完全に私の独断ですが、今は「モラハラ成長期」の段階だと思います。

「モラハラ」という言葉が広く認知されるようになり、モラハラ本も次から次へと発行されています。文字の本ばかりではなく漫画もあれば、専門家(心理学者、弁護士、カウンセラーなど)だけでなく当事者が著したものも。本を選ぶ際の選択肢が広がったという面で、素晴らしいことです!

 ただし「モラハラ成熟期」には至っていないでしょう。私がそう思う理由は2つ。

  1. 「モラハラ」という用語の誤用が目立つ
  2. モラハラ本は玉石混交

 まずは用語の誤用について。

 モラル・ハラスメントのモラルという言葉に引きずられて、道徳や倫理と絡めて「モラハラとは」を説く言説をよく見かけますが、これは誤りです。ピンとこない説明になっている上、矮小化しているような感じもします。

 日本語のモラルには「道徳」の意味合いしかありませんが、フランス語や英語のmoralには「道徳的な」のほかに「精神的な」という意味もあるんですね。

 先にご紹介した『モラル・ハラスメント――人を傷つけずにはいられない』(原著はフランス語)の訳者は「まえがき」にて、以下のように述べています。

モラル・ハラスメントはそのまま訳せば、「精神的な嫌がらせ」だ。

 英語の文章で「psychological/moral harassment」「psychological (moral) harassment」などと、psychological(精神的な)とmoralを併記しているケースもあります。

 モラル・ハラスメントとは、規範や道徳を持ち出してきて行うものだけでなく、精神的な嫌がらせ全般を指す言葉なんですね。

 でもカタカナの「モラル」が誤用を招きやすかったとしても、「モラル・ハラスメント」という用語が世に出たこと自体は、モラハラに悩む人にとって大いなる救いになったはずです。ネットで検索するときに役立ちますし、人に相談するときに「夫に精神的虐待を受けている」みたいな、むき出しの言葉では口にしづらいですし。

 さて、もう1点。「モラハラ本は玉石混交」について。

 これはもう何と言うか……、口さがなく言ってしまうと、売りたいがためにタイトルに流行りの「モラハラ」って入れてるだけじゃんモラハラ本ではないやん、とか。それなら、せいぜい本を買ったお金と読んだ時間を損するくらいですが、実害があるタイプのだと、お前(著者)の言うことはモラ夫と同じやないかこっちに我慢を強いて表面上穏やかにするだけのものや、って思ってしまいますね。

 そういう本は読んでも、いちいちレビューを掲載したりはしませんが、例外はあります。私の腹立たしさをぶつけたレビューに、もしご興味があるようでしたら、★1つの本とか、★2つの本とかをご確認ください。

 最近、特に増えたのは、モラハラ被害者当人による体験談をまとめた漫画や本です。モラハラ被害者は専門家と比べて圧倒的に数が多いですし、Amazonで電子出版するとか上梓するまでのハードルが下がったのも一因でしょう。

 体験談は物語調で、読み物としておもしろいものもあります。ただ、読者を惹きつけるための脚色が過ぎて、「実話をうたって、さすがにその展開はないやろ」と感じることも。まあ、真偽を確かめる術はないんですが、本好きの勘です。

 体験談を参考にするなら、子供・仕事・お金・サポートしてくれる人の有無など、自分と著者の環境が似ているものがいいですよね。

 最後に時代に即した名著を挙げます。2019年に発行された『離れたくても離れられないあの人からの「攻撃」がなくなる本』(レビュー)です。

「モラハラ」という用語の広まりと共に、ハードなモラハラだけでなく、比較的ライトなモラ夫やモラ妻も見出されるようになりました。そうすると、離婚のデメリットが相対的にデカい。

 そうした人に向けて、同居したまま、なるべく自分が平穏に過ごせる心構えや方法を教えてくれます。それに、どんなにヒドいモラハラ夫だろうと、別居・離婚をすぐに決断できるものではないし、決めたとしても実行に移すのはさらに先です。いざ別居までの期間を過ごす人にも役立ちます。

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モラハラ本をお探しの方へ

 数々のモラハラ本を読んできたため、人にお勧めのモラハラ本を尋ねられることがあります。私が良いと思った本については、以下の記事にまとめてあります。

 ただ、本音では、人によって合う本は違うだろうなあ、って思います。色んな状況別におすすめする本は以下です。

 もういっそのこと、すべて一覧で確認したい方は、以下をどうぞ。

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まとめ

この記事で取り上げた書籍
  • となりの脅迫者――家族・恋人・友人・上司の言いなりをやめる方法
      [Amazon] [楽天] [レビュー]
  • モラル・ハラスメント――人を傷つけずにはいられない
      [Amazon] [楽天] [レビュー]
  • カウンセラーが語るモラルハラスメント――人生を自分の手に取りもどすためにできること
      [Amazon] [楽天] [レビュー]
  • 離れたくても離れられないあの人からの「攻撃」がなくなる本
      [Amazon] [楽天] [レビュー]

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プロフィール

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 ある日、私は2人の子供を連れて、モラ夫から逃げて別居しました。私自身と子供を守るためです。

 私は年間100冊程度の本を読んでいます。好きなジャンルはファンタジーですが、多読しているのは実用書です。

 このサイトを訪れた方が、少しでも生活を改善したり、気持ちを前向きにしたりする情報を得られたら幸いです。

望木 幸恵

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