マンガ『モラニゲ――モラハラ夫から逃げた妻たち』のレビュー

おすすめポイント

★★★★☆

妻がモラハラ夫と別居・離婚したエピソード7人分がマンガに。

自分の境遇や心情と似た描写から、気づきが得られる。

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レビュー

本のあらすじ・位置づけ

 「モラニゲ」とは、モラハラ環境から逃げることを意味する造語。端的に言うと、別居とか離婚とかですね。

 この本では、著者(漫画家、榎本まみ氏)が編集者(男性)とともに、モラニゲした女性を取材をして、エピソードをマンガで描き起こしています。そのようなモラニゲのエピソードが7件、夫婦間の性的なハラスメントについての座談会、専門家からのアドバイスが3件と、盛りだくさんの内容をつづっています。

 章立ては次のとおり。

  • Case1 モエさんの場合――「何が何だかわからないけどずっと苦しい」人として価値がないと言われ続けて
  • Case2 えにさんの場合――「子どもには二度と会わない、養育費も払わない」別居後、本当にお金で苦労しました
  • Case3 さくらさんの場合――「我慢はしちゃダメなんだ」嫁ぎ先は一家全員、モラハラ一族
  • Case4 ミレイさんの場合――「何でもっと早く言わなかったんだろう」助けてって言うだけで手は差し伸べられたのに
  • Case5 レイコさんの場合――「もう消えたい」無視、罵倒、暴力…ズタズタにされた自尊心とそれでも守りたかったもの
  • Case6 ナオコさんの場合――「調子に乗るな」「はしゃぐんじゃない」―夫作成の謎ルール。気づいたら笑えなくなっていた
  • Case7 ひろこさんの場合――「嫌な相手からは逃げなきゃいけないんだよ」壊れた家庭を捨てられなかった理由
  • Case8 座談会~性的なモラハラについて~
  • Advice1 弁護士 大貫憲介先生の見解
  • Advice2 元女性センター相談員 熊谷早智子さんの見解
  • Advice3 臨床心理士 本田りえ先生の見解

 そもそも、著者がこの本を手掛けるきっかけとなったのが、著者自身の友人(モラハラ夫持ち)に巻き起こった事件。本の中ではサイドストーリーとして、ご友人の変わりゆく人生を描いたページをところどころに挟んでいます。

感想等

 タイトルは「モラニゲ」ですが、この本では「なんがなんでも逃げろ」「離婚一択」などとは言っていません。「Advice3 本田りえ先生の見解」では「逃げられないのが当たり前」とのこと。その辺りは一昔前とは違うな、と感じました。逃げるにせよ、戦略的に行うのがよいですよねえ。

 またモラニゲ・エピソードの1件1件は深堀されていませんが、色々な状況が描かれています。私自身(モラニゲ済み)の経験とも似ているものもありました。読者に気づきや理解を与える記述が、本の中のどこかしらにあるのではないかと思います。

 そしてそれぞれのエピソードの主人公から、今まさに夫からモラハラを受けながら生活をしている妻たちに向けた一言があるのがいいと思いました。背景を知ると、センパイの思いが凝縮しているのが分かります。

 私自身の心に刺さったのは、熊谷氏からの長い人生を見据えたアドバイスです。ちょっと長くなりますが、以下に引用します。

私は相談に来るならできるだけ若いうちにきてくれればなぁと思うんですよ
働き口があるうちにね
仕事が見つかれば自立できるし お子さんがいれば国から手当ても出るから

子どもがいるからって我慢して60代、70代になってしまった女性たちをたくさん見てきました
そういう人たちは今更離婚して働けとか言えないし もう我慢して夫と一緒に生活し続けるしかない人もいるんです

 この本は、モラハラ夫から逃げるための、具体的な指南書ではありません。逃げるかどうか、でもどうやって逃げるか、などと逡巡している方にこそぴったりです。方向性を示唆してくれます。ぜひお手に取ってください

モラニゲ――モラハラ夫から逃げた妻たち

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専門家について

 この本には、大貫憲介先生(弁護士)、熊谷早智子さん(元女性センター相談員)、本田りえ先生(臨床心理士)のお三方がそれぞれの専門分野の観点から、アドバイスを寄せています。

 大貫氏は「弁護士・大貫憲介のモラ夫バスターな日々」と銘打った連載をハーバー・ビジネス・オンライン(オンラインメディア、すでに終了)で続けていました。その記事に挿し込んであった4コマ漫画の作者が、今回取り上げた『モラニゲ』の著者です。

 そして大貫氏の著書が最近(2022年4月)発行されています。タイトルは『私、夫が嫌いです』と、パンチが効いている!

私、夫が嫌いです――モラ夫バスターが教える“なぜかツライ”関係から抜け出す方法

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 熊谷氏と本田氏は『「モラル・ハラスメント」のすべて』(レビュー)という本の著者に名を連ねています。この本は10年近く前(2013年)、まだ「モラハラ」という単語が市民権を得ていない頃に発行されました。

「モラル・ハラスメント」のすべて――夫の支配から逃れるための実践ガイド

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 その他、モラハラ関連の本の一覧については、以下の記事をご参照ください。

 対モラハラ界の先人たちの著書もぜひ併せてご確認ください。

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まとめ

要約

モラハラ夫と決別した女性を取材をして、エピソードをマンガで描き起こしたもの。そのようなモラニゲのエピソードが7件、夫婦間の性的なハラスメントについての座談会、専門家からのアドバイスが3件

評価(お役立ち度)

★★★★☆ (気づきが得られる)

基本情報
  • タイトル:モラニゲ――モラハラ夫から逃げた妻たち
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  • 著者:榎本まみ
  • 出版社:飛鳥新社
  • 発行日:2021年4月3日
この記事で取り上げたその他の書籍
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  • 「モラル・ハラスメント」のすべて――夫の支配から逃れるための実践ガイド
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プロフィール

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 ある日、私は2人の子供を連れて、モラ夫から逃げて別居しました。私自身と子供を守るためです。

 私は年間100冊程度の本を読んでいます。好きなジャンルはファンタジーですが、多読しているのは実用書です。

 このサイトを訪れた方が、少しでも生活を改善したり、気持ちを前向きにしたりする情報を得られたら幸いです。

望木 幸恵

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