★★★★★ ベストセラー
最終章で「攻撃せずにはいられない人」への対処法を掲載。キレイごとではない、必要悪も教えてくれる。モラ夫・DV夫に恐怖よりも憤りを感じる方におすすめ。
レビュー
物書きになりたかった精神科医が書いた本です。読み物としておもしろくて、スラスラ読めます。私は立ち止まらずに一度読み切った後に、気になった部分を確認しにまた戻るという感じで、この著者の本のページを繰っています。
この本は加害者・被害者の人物像や、攻撃する方法や理由について解説した後、最終の「第6章 処方箋――かわし方、逃げ方、自分の守り方」に続きます。攻撃が発生する関係として、夫婦間、親子間、親戚間、会社の上司・部下、先輩・後輩、友人同士、隣人同士など幅広く取り上げています。
ちなみに、この本が出版されてから6年後の2019年に、著者は『子どもを攻撃せずにはいられない親』(レビュー)という本を上梓しています。著者自身が親からの攻撃に悩まされた人物でもあります。
DV本やモラハラ本に登場する典型的な被害者と異なり、この本の「攻撃される人」は被害者然として、手も足も出ずに一方的にやられる人ではありません。その分、被害者像について慎重な言い回しも見当たりません。
この本は、DV夫・モラ夫に怯えるよりも怒りを感じるような、闘争モードのときに読むことをおすすめします。ただし相手と闘うわけではありません。「第6章 処方箋」の冒頭で、著者は次のように述べています。
最初に言っておきたいのは、この対処法は、自分を攻撃したり支配したりしようとする相手に勝つためのものでも、より巧妙にやり返すためのものでもないということである。(略)
重要なのは、相手をやり込めることでも、黙らせることでも、自分のほうが有能だと誇示することでもない。攻撃欲の強い人に支配されて振り回されている関係から一刻も早く脱出することこそ第1目標なのだと、肝に銘じておくべきである。
以降、具体的な対処方法が提示されるわけですが、著者自身が「こういうやり方を用いるのは、決してほめられた話ではない」「こういう手法には誰だって頼りたくない」と述べる例も登場して、思わずクスっと笑ってしまいました。もちろん、正攻法の(?)指針もあります。
身近に攻撃してくる人がいる場合は、ぜひご一読ください。
まとめ
攻撃する人や攻撃されがちな人の人物像や、攻撃の方法や理由について解説した後、最終章で対処方法を紹介。
★★★★★ (モラ夫に強気で臨める)
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