★★★★☆
「進路選択の際に親の価値観を押しつけられ、そのせいで若い頃は随分悩んだ」精神科医が、本作の著者。きちんと章立てされており、分かりやすく、一気に読み終わる。
レビュー
ここで紹介する本は、毒親に葛藤を抱きながら成人した「元子供」に向けて書かれたものです。精神科医が「子どもを攻撃せずにはいられない親を取り上げ、その心理メカニズムを分析したい」として上梓した本で、子供を攻撃する親の心理が随所に表されています。3つ引用します。
子どもを自分の所有物とみなしているからこそ、自分の好きなように扱ってもいいと思い込むわけである。
親の所有意識と密接に結びついているのが、「自分は親なのだから、少々のことは許される」という特権意識である。
一番厄介なのは、子どもを攻撃する親の多くが、自分は正しいと思い込んでいることだ。当然、子どもを攻撃している自覚などない。
親への葛藤を抱えて成人した子供に向けた本(毒親本)は数々ありますが、この本はなかでも読みやすいです。その理由は3つあります。
- ボリュームが少なく一気に読み終わります
- 著者が現代の日本人で、共通の文化的背景を持っています。日本の事例や事件を取り上げており、発刊時期が比較的最近です
- きっちりと章立てされています
著者自身が「子供を攻撃せずにはいられない親」の元で成長したこと、また精神科医であることが、文章に説得力をもたらしています。
この本が発行される6年前に、著者はベストセラーになった『他人を攻撃せずにはいられない人』も著しており、これはその親子版といった趣きです。

私にはモラハラ夫(元)がいました。モラ夫は子供をやり込めていたり、逆に子供のせいにしてモラ夫自身が泣いていたり……。私にはモラ夫が子供を「攻撃」しているように見えました。
直感的にこのままではマズいんじゃないかと思い、この本を開きました。
この本はモラ夫が「攻撃せずにはいられない親」になるのを阻止する視点では書かれていません。しかし、さまざまな謎が解け、言い表せなかった事象や感情を理解でき、読後すぐには目が覚めたような気持ちになりました。
モラ夫・モラ妻を持つ方は、ヤツが子供に与える影響を知るために、ぜひご一読を。
まとめ
子供を攻撃する親の例、攻撃する理由、子どもに与える影響、処方箋(対応方法)、極端な事例、を順番に解説。
★★★★☆ (読み物としておもしろかった)
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