★★★★★
未就学児から高校生くらいまでの 子供を持つ親に向けた、Q&A形式の性教育の本。
子供の年齢の幅を広く取っている分、近い未来のための準備もできる。
レビュー
本のあらすじ・位置づけ
未就学児から高校生くらいまでの子供を持つ親に向けた、性教育の本です。
以下のように子供の年齢に応じて章立てをして、Q&A形式で親が抱きがちな疑問 計25個に答えています。
- I 小学校低学年くらいまで――小さい頃のからだや性への素朴な疑問
- II 小学校三、四年生くらいまで――いのちの成り立ちや性別を意識する頃の困った質問
- III 小学校五、六年生くらいまで――子どものからだが変化する頃の微妙な不安
- IV 中学、高校生の頃――思春期のからだ、こころ、性への対処
ひとつ目の質問と、最後である25個目の質問を引用します。
相談1
ウチの子はウンチ、オシッコなどという言葉を連呼して、それを止めるとよけいに大きな声で言うので困ってしまいます。どうしたらいいでしょうか?
相談25
高校生のセックスをどう考えたらいいでしょうか。娘から「お互いに愛情があるのに、なぜいけないの?」とか、「『愛しているから』と言われて、とても断りにくい」という話をされると、親である自分も自信をもって「いけない」と言えないように思えてしまうのです。
こんなふうに、まだかわいげも感じられる質問から、どうにも手強い質問へと、進んでいきます。
回答には、具体的な対話例や親が取るべき態度が満載。答えはひとつとは限らず、いくつかのバリエーションが示されていることも。あるいは難しい問題については、どの家庭にも当てはまる万能の解が存在するわけでありません。そういうケースでは、自分で考えたり勉強したりするネタが提供されています。
なお、私は一男一女のシングルマザーの立場でこの本を読みましたが、そのような家庭についても細々と言及されていました。
感想等
著者は1941年(昭和16年)生まれで、高校の保健体育の先生を皮切りに、長年性教育に携わっています。そのご経験と真摯な姿勢に裏打ちされ、この本は豊富で実践的な内容だと感じました。著者が「考えに考え抜いてできあがった」セリフなんかも登場しましたし、著者がご自身のお子さんへ実際に話された内容の紹介もありました。
読後は、生命の神秘と言うか、命の尊さというか、なんかちょっと壮大なことを考えさせられました。私の母心に刺さったのは、以下のパートです。
いずれにせよ、「あなたが生まれた頃」は「お母さんとお父さんはラブラブだったのよ」ということを、(たとえいくらかうそであっても)子どもに印象づけたいと思っています。
「でも花子が生まれてから、いろんなことがあってね。これ以上いっしょに暮らしつづけるよりも別々に生活したほうがいいとお父さんとお母さんで考えて、別れたの。けれど、あなたが生まれた頃は、お父さんのこと大好きだったわよ」
今は離婚している人も、この程度の言葉を添えて話せば子どももほっとするかな、なんて考えました。
知識という面では、子供の年齢の幅を広く取っている分、割と近い未来のための準備もできました。息子に対する性教育という面で頼りにできる父親がいないので、がんばって勉強しようと思います。
ご興味のある方は、ぜひご一読ください。
まとめ
未就学児から高校生くらいまでの 子供を持つ親に向けた、Q&A形式の性教育の本
★★★★★ (シングルマザーとして、息子の性教育の準備ができた)
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