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大人気の『こども六法』の続編。子供が大人に助けてもらいときの話し方や相談先について伝授。
大人には、子供に相談を持ち掛けられた場合と、自分自身の困った状況に対処する場合の二重で役立つ。
レビュー
大人気の『こども六法』(レビュー)の続編です。『こども六法』の著者で、『こども六法ネクスト』の監修者である山崎 総一郎氏は、本の位置づけについて次のように述べています。
前作の『こども六法』は「助けてくれる大人は必ずいる」というメッセージを込めた本でした。しかし、刊行後に「現実には、ほとんどの大人は助けてくれない」という批判を沢山いただきました。その批判に対する答えが、『こども六法NEXT』と題したこの本です。
173ページ
その通りでした。この本には、
- 相談した人にこう言われたら、こう言い返せ
- こういう人はあきらめて、別のこういう人に相談してみて
- こういう専門家がいて、無料で気軽に相談できるよ
といったことが書かれています。
章立ては「まあまあ言葉」でなされています。「まあまあ言葉」というのは、この本で定義された呼び名です。悩みを相談された大人が真剣に取り合わずに、「まあまあ。あなたにも悪いところがあるんじゃないの?」などと受け流したり、話をぶった切るような言葉を指します。
具体的な「まあまあ言葉」のサンプルとして、目次(以下)をご覧ください。
- 1章 「やられたらやりかえせ」
- 2章 「みたくなければみなければいい」
- 3章 「なにもされてないならいいんじゃない?」
- 4章 「こどものやったことですし」
- 5章 「あなたにもわるいところがあるんじゃないの?」
- 6章 「いやならでていけ」
- 7章 「いつかしあわせになれる」
各章はストーリー漫画と、監修者のコラムと、専門家からのアドバイスで構成。専門家として元公立小学校校長、弁護士、スクールカウンセラー、元警察心理員、児童相談所の職員が登場します。警察心理員とは聞き慣れない肩書ですが、この本によれば「警察官とは違い、主に未成年者や保護者などから非行防止や犯罪被害などの相談を受けて助言や指導をする」とのこと。
途中に対談が挟まれていたり、巻末に相談先が列挙されていたり、盛りだくさんの内容です。
しかも総ルビで、絵・漫画が差し挟まれていて、2色刷り。子供でも読みやすい!
この本は、自分ではどうしようもない悩みを持つ子供にはもちろんのこと、大人には二重の意味で役立ちます。
ひとつは自分自身が子供に「まあまあ言葉」を言わずに、どう反応したらいいのかヒントが得られる点。我が子は超怖がりで、私の恐怖センサーはぴくりとも反応しないことで、怖がったり悩んだりするんですよね。とりあえず、ちゃんと話は聞いてやろうと思いました。ちなみに、本の「はじめに」にも以下の一文があります。
先生や両親など身近な大人と一緒に読めば、大人も相談スキルを高めることができます。
また、もうひとつは、自分自身が「まあまあ言葉」や、理不尽な言葉を投げかけられたときにも参考になります。たとえば6章の「いやならでていけ」という言葉は、かつてモラハラ夫がいた私の思い出の一言。「離婚だ!」「いっしょに住めるか!」「出て行け!」などなど、バリエーション豊かでした。それって、この本によればパワハラなんですって。立場の差を利用して、モラハラ夫の主張を通すように圧力をかけているわけですからね。
お子様がいるご家庭におすすめです。ぜひご一読ください。
まとめ
子供が大人に助けてもらいときの話し方や相談先について伝授。
★★★★★ (子供に相談を持ち掛けられた場合と、自分自身の困った状況に対処する場合の二重で役立つ)
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