★★★★★ ベストセラー
子供向けの法律の解説書。いじめ、非行、離婚、虐待・ネグレクトなどに関して、適用される法律について説明。
単なる法律の説明に留まらず、何らかの被害を受けている子供(小学生~)の助けになる一冊。
レビュー
子供向けの法律の解説書です。ただしまったくもって無機質なものではなく、法律は人を守るためにある、ということが情熱的に伝わってきます。しかも子供にとって身近な法律の適用例を挙げ(いじめに対するものなど)、さらにすべての見開きに挿絵があって(たぶん)、非常に分かりやすくなっています。漢字にはルビが振られています。
巻末の「大人向けのあとがき」には、この本の目的が示されています(太字は私が強調)。
昨今はいじめ問題のほかにも児童虐待、性的搾取といった理不尽な危険に子どもたちは晒されています。そして恐ろしいことに、いじめ問題も含め、そういった問題を深刻化させるのはしばしば大人たちの「見て見ぬふり」なのです。
(略)
『こども六法』は、こういった課題の解決を目指した本です。「わたしは今、苦しい思いをしています」というSOSが子どもの側から発信されることを目指し、またそのSOSに根拠を持たせることで、SOSを受けた大人が積極的に問題解決に動けるようにする、それでも最初に相談された大人が問題を解決してくれなかった場合は他の大人にも助けを求められるようにすることが、本書の目的です。
いじめについては六法の解説とは別に「いじめで悩んでいるきみに」というセクションが設けられています。筆者ご自身がいじめの被害・加害の経験があるそうです。
また「民法」の章で、我がサイトのテーマである離婚・虐待・ネグレクトに関係する法律も、取り上げています。家庭裁判所が何をするところかの解説もあります。

この本の人気っぷりを見て、私はいじめ問題を念頭に娘に買い与えました。
その後、離婚調停で家を空ける時、娘がこの本を持ち出してきて「かていさいばんしょに行くの?」と尋ねてきました。離婚調停・離婚裁判、婚姻費用、養育費、親権についても子供に分かりやすく書いてあり、娘との会話に活かすことができました。
さらにネグレクトや虐待がある場合に、親権喪失の手続きが取られることが示され、「助けてくれる大人は必ずいる!」と大書してあります。
悩み多き思春期の子供たちの支えとして、おすすめの一冊です。
2021年4月に続編『こども六法ネクスト おとなを動かす 悩み相談クエスト』が発刊されました。『~ネクスト』の「おわりに」には、本の位置づけについて、以下のような説明があります。
前作の『こども六法』は「助けてくれる大人は必ずいる」というメッセージを込めた本でした。しかし、刊行後に「現実には、ほとんどの大人は助けてくれない」という批判を沢山いただきました。その批判に対する答えが、『こども六法NEXT』と題したこの本です。
よろしかったら続編のレビューもご確認ください。
まとめ
子供向けの法律の解説書。単なる法律の説明に留まらず、勇気づけられ、対処法(大人に相談する)も分かる。
★★★★★ (人気に納得。我が子も熱心に読んだ)
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