本『14歳の自分に伝えたい「お金の話」』のレビュー

おすすめポイント

★★★★★

王道の、金融リテラシーを学べる本。著者は「ひふみ投信」を運用する藤野 英人氏。

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レビュー

本のあらすじ・位置づけ

 これは王道の、金融リテラシーを学べる本です。14歳(中学2~3年生)の自分(著者自身)を現代に呼び寄せたと想定して、著者が「君」と語りかけながら話が進行。表紙のイラストも、そんなSFチックな感じになっています。

 目次は次のとおり。

  • はじめに
  • 第1章 「お金」のこと――“人の努力や才能を引き出す”パワーがある
  • 第2章 「使う」こと――「僕らの使い方」が社会の景色を決めていく
  • 第3章 「仕事」のこと――自分に合った「働き方」「稼ぎ方」を知る
  • 第4章 「人生」のこと――「幸せ」と「お金」の意外な関係
  • おわりに

 お金の本質から、お金を使うこと・得ること、さらには人生についてまで、お金について包括的に扱っています

 また時間軸で見ても、大和時代の富本銭ふほんせん和同開珎わどうかいちんから、暗号通貨のビットコインやイーサリアムまで言及。他にも、変化が激しい時代におけるお金の新たな一面として、投げ銭、クラウドファンディング、副業、パラレルワークなどなどに触れています。

 この記事を読んで、もしも「かね」「かね」「カネ」ばかりで、いやらしく感じさせてしまったら申し訳ありません。それは私の筆力の至らなさのせいで、この本では真面目に真っ当にお金に向き合っています。

著者について

 著者は投資家の藤野 英人氏。

 株式投資信託を買ったことがある方なら、一度は「ひふみ投信」の名を見聞きしたことがあると思います。優れた運用実績と高い人気を誇る、その「ひふみ投信」シリーズを手掛ける新興企業 レオス・キャピタルワークスの創業者にして社長 兼 最高投資責任者が、著者その人です。

 なお「投資信託」について説明している部分を、本の中から引用します。

 できるだけたくさんのお客さまから「すぐに使う予定がないお金」を預かって、まとまった資金にして、株式や債券に投資して運用し、利益を出して、お金を出したお客様に還元しています。株式や債券を発行する人たちは、「やりたいことがあるのに、実行するための資金が自分のお金だけでは足りない」という事情を抱えている人たちです。

「投資家」の定義は以下。

 投資家は「お金を持っている人」と「お金はないけれど、やりたいことがある人」をつなげる仕事です。

 私は著者に対して「職人」のようなイメージを勝手に抱いています。なんなら黒魔術を用いて、労力をかけずに指先ひとつでラクラク資産を増やしていくような、怪しい錬金術師とは対極です。

 個人的にはついつい利益・リターンに目がいっちゃいますが、それは投資の一面に過ぎないんですよね。根源的には、投資先の事業を支援することと両輪です。

 しからば、どの企業に投資すれば、お金を出した人も企業もハッピーになれるのか? 前著『投資家が「お金」よりも大切にしていること』(2013年 発行)からは、著者がこのために靴底をすり減らしている様子が読み取れます。著者は「ITだろうと金融だろうとメーカーだろうとサービス業だろうと、あらゆる業種の社長さん、約5700人と直接会って話をしてきた」んですって。今の時代、ネットでも情報を集められるのに!

本の選定理由・感想等

 なぜこの本をピックアップしたか。その理由は2つ。

 まず、我が子に読ませたいのはもちろんですが、シングルマザーの私にもぴったりの本だと思ったから。一見、別の生物とも思える中学生とオバサンの私の間にも、以下の共通点があるんですね。

  • 人生について考えちゃう
  • お金がない
  • 金融教育をまともに受けたことがない

 中学生向けに書かれているので適宜読み替える必要はありますが、この本の中のメッセージやアドバイスは、私を勇気づけてくれました。3つほど取り上げます。

  • これからの人生で「お金のパワー」を存分に活用できれば、未来はどんどんよりよいものに変わっていく
  • 「貯金以外の選択肢」を持っておこう
  • 個人が一つの会社に縛られることなく、自由に好きな職場を選びやすい社会が近づいていると期待している

 二つ目の理由は、著者のファンだから。思春期の頃の話や、投資家の道へ進むことになったエピソード、コロナ禍での過ごし方なんかも、興味深く読みました。それに、1兆円の資産を預かって運用しているのに、プライベートでは家庭菜園で使う支柱がハマらずに無駄遣いを反省するギャップに萌え萌えキュン。

 この本からは、一生お付き合いするお金について学んで、読者により良い人生を歩んでほしいという、著者の熱意を感じます。さらに、著者が「投資家として30年間考え続けてきた」ことが1冊の本にまとまっていて、お得感があります。お金について悩んでいる方は、ぜひご一読ください。なお著者が仕込んだシカケがあるので、飛ばし読みせずに、ぜひ「おわりに」までびっちり、しっかり目を通してください。

14歳の自分に伝えたい「お金の話」

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まとめ

要約

お金の本質から、お金を使うこと・得ること、さらには人生についてまで、お金について包括的に扱う

評価(お役立ち度)

★★★★★ (親子二代で勉強になった)

基本情報
  • タイトル:14歳の自分に伝えたい「お金の話」
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  • 著者:藤野 英人
  • 出版社:‎マガジンハウス
  • 発行日:2021年5月13日
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 ある日、私は2人の子供を連れて、モラ夫から逃げて別居しました。私自身と子供を守るためです。

 私は年間100冊程度の本を読んでいます。好きなジャンルはファンタジーですが、多読しているのは実用書です。

 このサイトを訪れた方が、少しでも生活を改善したり、気持ちを前向きにしたりする情報を得られたら幸いです。

望木 幸恵

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