本『「過干渉」をやめたら子どもは伸びる』のレビュー

おすすめポイント

★★★★★

「3年間、生徒全員が幸せに過ごすことができる公立中学校」と言われている、東京都 世田谷区立 桜丘中学校についてのトークイベント(2019年 開催)の内容を再現。

家庭での教育虐待も取り上げる。

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レビュー

本のあらすじ・位置づけ

 この本では、「3年間、生徒全員が幸せに過ごすことができる公立中学校」の教育について取り上げています。校則も、定期テストも、始業・終業のチャイムもないけれど、居場所と自由はある。そして学力や、未来を生き抜く力も付いてくる。そんなおとぎ話のような中学校があるの!?

 東京都 世田谷区立 桜丘中学校。この不思議な中学校について、2019年に「桜丘中学校ミライのバトン~選びたくなる、公立学校とは?~」と題したトークイベントが行われました。登壇者は桜丘中学校の校長(当時)西郷 孝彦氏、尾木ママこと尾木 直樹氏、麻布学園理事長 吉原 毅氏のお三方。さらにファシリテーター(司会)は世田谷区長 兼 教育ジャーナリストの保坂 展人氏が務めました。

 その講演内容を再現したのがこの本です(ただし、大幅加筆・修正を行ったとの注記あり)。対話形式で文章がまとめられており、登壇者が本の著者として名を連ねています。

 さらに最終章(第四章)には、前述のイベントの参加者(聴講者)から集めたアンケートの声が要約されています。ちなみに、特に反応が多かったのは「同調圧力」について、とのこと。

 目次は次のとおり。

  • はじめに 校則も定期テストもない公立中学校を訪れて(尾木直樹)
  • 第一章 “みんなが主役”の学校づくり(尾木直樹×西郷孝彦×吉原 毅)
  • 第二章 学校の“いま”、家庭の“いま”(尾木直樹×西郷孝彦×吉原 毅)
  • 第三章 可能性が広がる学校の“ミライ”(尾木直樹×西郷孝彦×吉原 毅)
  • 第四章 親の“不安”、その先の“希望”
  • おわりに みんな違っていい

本の選定理由

 このWebサイトで扱っているネタのひとつ、家庭での「教育虐待」に言及しているため、この本をピックアップしました。

 子供の教育は、当然のことながら、学校だけで完結するわけではありません。家庭教育や家庭環境にも、本のあちらこちらで触れています。「少なからず、親からのプレッシャーが見え隠れしています」など。

 特に、まとめて取り上げているのが、「第二章 学校の“いま”、家庭の“いま”」にある以下のセクションです。

  • 高学歴の親に多い教育虐待
  • 口うるさい父親が子どもを追い込む
  • 「勉強しろ!」は教育虐待

感想等

 子供に教育虐待をしていたモラハラ夫がいた私からすると(離婚済み)、以下の一文に目を引き付けられました。

西郷 興味深い、というと語弊がありますが、2018年度に桜丘中学校で行ったアンケートを分析した資料があるのですが、それによると、特に父親が勉強に口うるさいケースは、子どもの自己肯定感も成績も低下する傾向にあることがわかりました。 

 さもありなん、と思いました。なお、その理由については、以下のように分析しています。

普段から関わる時間や密度の濃い母親からの過干渉はあまり子どもに影響がないが、日常的に関わりが薄かったり放任している父親からの過干渉は、子どもの自尊感情を下げ、悪影響を与える可能性がある。

 これは、一面では当てはまると思います。生まれたばかりなど、 子供が幼い頃は、親子でいっしょに時間を過ごすことを「過干渉」とは言わないでしょう。 子供の成長に沿って「育児」から「過干渉」へソフトランディング(?)していく母親と違って、育児に積極参加しなかった父親がいきなり口を出すようになったら、フツーにウザっっっ。

 さらに過干渉のレベルも、母親よりも父親のほうが高くなりがちじゃないかと。父親が仕事などで家を離れている時間が長かったとしても、在宅時に凶悪にレベルアップします。我が家がそうだったのですが、家事や育児を母親任せにして、父親は狙った子供にべったりと張り付けるでしょう。仕事が休みの日や、コロナ禍の在宅勤務の日々なんかは、サイアク。これが家事・育児を担う母親であれば、買い物でちょっと家を離れるタイミングもあるんでしょうが。

 さて、この本は主に学校関係者に向けて書かれました。しかし普通の(?)保護者にとっても、機能不全家族の親にとっても、示唆に富む記述が満載です。なんなら、ウチのモラハラ夫(元)が読んでもいいかも。「虐待」とか「毒親」とか言われて責め立てられるよりも、主に「過干渉」という切り口で、学校をターゲットにしたこの本のほうが、聞く耳を持つ可能性があります。

 学校に通うお子様がいらっしゃる方に、おすすめいたします。ぜひご一読を

「過干渉」をやめたら子どもは伸びる

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まとめ

要約

「3年間、生徒全員が幸せに過ごすことができる公立中学校」と言われている、東京都 世田谷区立 桜丘中学校についてのトークイベント(2019年 開催)の内容を再現。さらに大幅に加筆。イベントの聴講者へのアンケート結果も掲載。

評価(お役立ち度)

★★★★★ (家庭のことも顧みられる)

基本情報
  • タイトル:「過干渉」をやめたら子どもは伸びる
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  • 著者:西郷 孝彦、尾木 直樹、吉原 毅
  • 出版社:小学館
  • 発行日:2020年4月7日

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プロフィール

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 ある日、私は2人の子供を連れて、モラ夫から逃げて別居しました。私自身と子供を守るためです。

 私は年間100冊程度の本を読んでいます。好きなジャンルはファンタジーですが、多読しているのは実用書です。

 このサイトを訪れた方が、少しでも生活を改善したり、気持ちを前向きにしたりする情報を得られたら幸いです。

望木 幸恵

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