★★★★★ 増刷中
おもしろくて、刺激的! 読後は爽快。
レビュー
本のあらすじ
この本は、夫と別居した、本屋の女性店長の成長譚です。巡り会った人々との交流を通じて、著者がパワーアップしていく様子を楽しめます。人と会うきっかけ作りは、その人に合いそうな本を紹介することを通じて。
もちろん、どういう人にどの本を紹介したのか、バックグラウンドや具体的な書名も掲載していますが、書物の内容にフォーカスを合わせているわけではありません。
著者の出発点(見知らぬ人に本を勧め始める前の時点)は以下。
私は横浜郊外のファミレスでひとり、2時が来るのをうつろな気持ちで待っていた。こんなときは本を開く気にもなれなかった。とりあえずの着替えと生活用品をスーツケースに詰めて職場に持ち込み、家のない生活を始めてから1週間になる。
(略)
「もう何事もなかったようにいっしょに住むことはできない。明日からここには帰ってこないから」
1週間前、そう言って夫と2人で住んでいたマンションを出てきた。行く当てはなかったし、その後どうするとか、自分が出て行ったら気持ちを切り替えてくれるはずだ、みたいな計算も何もなかった。
ここから1年後には別人になります。
タイトルがなかなか衝撃的ですが、 「知らない人と30分だけ会って、話してみる」という健全な(?)交流を支援するサイトXを「出会い系サイト」と称しています。
サイトXで著者が掲載したプロフィールは以下。
変わった本屋の店長をしています。1万冊を超える膨大な記憶データの中から、今のあなたにぴったりな本を1冊選んでおすすめさせていただきます
これをきっかけに見知らぬ人とアポを取って対話、本を勧めまくっていくんですね。
人に本を勧めるときの気持ちや、本屋についての一家言など、読書家の思いが綿密に語られた一冊です。
本の選定理由・感想
このサイトのテーマであるモラハラ・DV・虐待・離婚なんかとは直接的には関係ない本ですが、読書が趣味と公言している者として、パワーフレーズに満ち満ちた題名を見て、手に取らざるを得ませんでした。
「本を人に勧める」ことについては、このサイトでも行っています。たとえば、“モラハラ夫・DV夫に読ませる本3選”のような記事がそうです。ほかにも、“本『モヤモヤしている女の子のための読書案内 (14歳の世渡り術)』のレビュー”という記事では、「本を紹介する本」の書評を掲載しています。
そういう「あるグループに向けて一般にお勧めする本」ではなく、『出会い系サイトで70人と実際に会って~』の選書には、特定の個人に合う本が並んでいます。また、著者はサブカル系に造詣が深いもよう。いきおい一般受けなど狙っていない、個性的な本がたくさん登場。実用書好きの真面目系の私が知らない世界・本は、刺激的でした!
そして著者の人生が輝いていく様子が痛快! 疾走感を感じながら読み進めました。本の終盤で、著者が1年間を振り返って「疾走感」という言葉を使っていて、追体験できたような気持ちになりました。そして、私もがんばろう、って思いました。
本好きの方は、ぜひご一読を!
まとめ
書店の店長(女性)が、見知らぬ人と対話して合いそうな本を勧めていく中で、自身の人生を好転させる話
★★★★★ (おもしろくて刺激的)
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