★★★★★ ロングセラー
長編の児童文学シリーズ「モモちゃんとアカネちゃんの本(全6巻)」の第3巻。ここで二人姉妹の両親の離婚が描かれる。小学生くらいが対象読者。読み聞かせなら幼児でも。
レビュー
モモちゃんとアカネちゃんの成長物語は、読んだことがある方も多いと思います。私が読んだタイミングは、人生で4回あります。最初はおそらく小学校入学前で、母が1話ずつ毎晩読んでくれました。次は実家の本棚で、そのモモちゃんの本を見つけたときです。中~高学年くらいになっていて、自力で読みました。時を経て、3度目は私が娘に読み聞かせをしました。よもや自分が別居・離婚することになるとは、思ってもみなかった頃です。
そして4回目として、モラ夫から逃れて別居した今、このブログのために読んだところです。人生経験を重ねて、子供の頃は見えていなかったものが、バッチリ見えました! 奥が深い!
この後、ネタバレあります。ネタバレを飛ばして「まとめ」へジャンプ。
モモちゃんが生まれてから、アカネちゃんの誕生を経て、モモちゃんが中学生・アカネちゃんが小学生になった頃までが全6巻で描かれています。ネコや靴下が話をするファンタジックな場面もあれば、両親の夫婦喧嘩・父親の浮気・離婚など生々しいイベントも登場します。ただし、そこは児童書なので穏やかに表現されています。大人になってから読むと、新たな発見があって、おもしろいポイントでもあります。
このシリーズ第3巻で、両親が離婚し、母子3人と黒ネコのプーは別の家に引っ越します。モモちゃんは小学1年生から2年生になるタイミングで転校することになります。子供の頃に読んだときは、そんなに悲壮なシーンとは感じませんでした。しかし、今読むと、モモちゃんの悲しさがきちんと表現されていることに気づきます。我が娘と重なって、せつない気持ちになりました。
第4巻以降では、父親あるいは祖父母(父の両親)との面会交流の場面も描かれています。
この本では「離婚」という単語は使われていません。シングル家庭があることを知らない子供に、これ以上ないほど穏やかに、それを伝えることができる本です。
古くから読み継がれている名著です。あとがきの制作秘話も興味深いです。エンタメとしてもお勧めします。
なお、シリーズ4巻『ちいさいアカネちゃん』のレビューも行っています。よろしかったらご確認ください。
「モモちゃんとアカネちゃんの本」シリーズ
第1~3巻が1974年に発行されてから18年を経て、1992年に第6巻(最終巻)が発行されました。私は子供の頃に第6巻を読んだ記憶がないです。
また2巻ずつの合本として、大人向けに文庫化されたシリーズもあります(全3巻)。オリジナルよりも漢字が多用されています。
まとめ
モモちゃんとアカネちゃんの二人姉妹の成長譚の第3巻。
★★★★★ (三世代で読みました)
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