
モラハラって何? セクハラが性的ハラスメントだから、モラハラは道徳的なハラスメント?

モラハラとは「精神的な嫌がらせ」「精神的暴力」のこと。
「モラル」という単語は、「道徳的」という意味で使われているわけではない。
モラハラ(モラル・ハラスメント)とは
モラハラ(モラル・ハラスメント)とは「精神的な嫌がらせ」「精神的暴力」のこと。言葉や態度、顔の表情などにより、継続して特定の相手を精神的に傷つける暴力を指します。
「モラル・ハラスメント」いう用語が世に広まるきっかけとなった書籍『モラル・ハラスメント――人を傷つけずにはいられない』(レビュー)の訳者は、まえがきで次のように述べています。
モラル・ハラスメントはそのまま訳せば、「精神的な嫌がらせ」だ。
『モラル・ハラスメント――人を傷つけずにはいられない』(訳者まえがき)
原著はフランスで刊行されました。フランス語のmoral(モラール)には「道徳的な」だけでなく「精神的な」という意味も。そして「モラハラ」という言葉においては、後者の意味で用いているのです。
「モラル」という単語に引きずられて誤解を生んでいますが、道徳や倫理・良識などが、モラハラに当てはまるかどうかの判定基準に関わるわけではありません。
モラハラ(=精神的暴力)とは、身体的暴力や性的暴力などと並ぶ暴力の区分のひとつなのです。『カウンセラーが語るモラルハラスメント――人生を自分の手に取りもどすためにできること』(レビュー)では、DV防止法を引き合いに出して、この辺りを解説。以下、引用します(太字は私が強調)。
DV防止法では、「配偶者からの暴力」とは、配偶者からの身体に対する暴力、またはこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動と規定されています。
『カウンセラーが語るモラルハラスメント――人生を自分の手に取りもどすためにできること』
こうした暴力には、次のようなカテゴリーが含まれます。
①身体的暴力(小突く、殴る、蹴る、殴るふりをする、包丁を突きつける、ものを投げつける、髪を引っ張り引きずりまわすなど)
②精神的暴力(脅す、侮辱する、誹謗中傷する、無視するなど、自尊感情を傷つける)
③経済的暴力(生活費を入れない、あるいは制限する、経済的自由を奪うなど)
④社会的暴力(行動や交友の監視・制限、外で働くことを妨害するなど)
⑤性的暴力(性交渉の強要、暴力的性交渉、避妊に非協力、堕胎の強要、見たくないのにポルノビデオを見せるなど)
ただし、どのカテゴリーの暴力であっても、モラハラ(=精神的暴力)がベースにあります。この点に関しては『傷ついたあなたへ――わたしがわたしを大切にするということ DVトラウマからの回復ワークブック』(レビュー)から引用します。暴力の種類別の相関図も併せて掲載しており、その図を説明する一文です。
身体的暴力と性的暴力が重なっているのは、性的な部分が身体の一部であるためです。そして全体を「精神的暴力」がおおっているのはどの種類の暴力であっても受けた側の精神に深い傷が残ることになるためです。
なお、モラハラについてさらに詳細な情報が必要であれば、本をお勧めいたします。よろしかったら、以下の記事もご確認ください。
まとめ
- モラハラ(モラル・ハラスメント)とは「精神的ハラスメント」「精神的虐待」のこと
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