警察署 生活安全課に行ってみた(後編)――長い戦いだった

 この記事は以下からの続きです。

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体験談(後半)

 「今日中にお母さんがお子さんをここに連れてこられないなら、このあと小学校に行って面談しますよ。」高圧的な刑事(年配)は、このように私に言い放ちました。「○○しないと、○○するぞ」と脅して他人をコントロールしようとするところが、我が家のモラ夫とだぶりました。以降、彼を「モラ刑事デカ」と称します。

 モラ刑事のモラモラな言動は続きます。取調室の中や入口付近に4~5人の刑事がいたと記憶していますが、ほぼモラ刑事のターンでした。私は自分自身がDV被害者だと認めたくない気持ちが今でもあるのですが(モラ夫にしてやられたようで悔しい)、このときばかりは「かわいそうな被害者である私に対して、この攻撃的な対応はあり得ない」と思いました。もしかして私が立派なDV被害者様であることをモラ刑事はご存じないのかもと思い、捜索願不受理届の手続きの際にした説明を繰り返しましたが、無駄な結果に終わりました。

 堂々巡りを繰り返すうちに、もはや相手は理屈ではなく、圧力で押し切る戦法のように感じました。そうだとすると、敵陣で私はたった一人、いかにも不利な状況です。「いったんシャバに出ないとヤバい。」私はモラ刑事を説得するのをあきらめて、取調室から解放される方法を考え始めました(もはや容疑者の気分)。

 時計を見ると、子供の下校時刻に近づいていました。ランチ前に用事を済ませるつもりで警察署を訪れたのに、想定外に長い時間がかかっていました。私はマヤることに決めました。

  • こんなに長く外出していると、モラ夫に疑われる
  • 家のことをほったらかしてきてしまって、早く帰って算段しないとモラ夫にバレる
  • 子供はもう家に帰ってくるけれど、家に警察が来たら、近所の人経由でモラ夫にバレる
  • モラ夫にバレたら、私も子供も追いつめられる
  • 警察に助けてもらいたかったのに、逆に困ったことになった

 それまでほとんど発言しなかった他の刑事たちの口添えもあり、私は解放されることになりました。しかも、今日は子供への聞き取り調査をしない、とのことでした。モラ刑事の「明日の○時までに電話をくれないと、困ったことになりますよ」という別れの言葉に送られて、私は警察署を後にしました。

 その直後から私は、当時お世話になっていた弁護士や相談員、頭がいいママ友、親類などに連絡をしました。分かったことは2つです。

  • 警察に行くのが早すぎた。別居するまでに間が無ければ、子供への聞き取り調査はなかった
  • 警察が必要と言うなら、聞き取り調査を避ける手はない

 私はほんのちょっと先延ばしすることには成功しましたが、状況に変わりはありませんでした。うーん……。

 しかし、私には救いの手が差し伸べられました! 救世主は、お世話になっていた複数の相談機関の方々です。警察署へ直接出向いたり、電話で生活安全課の刑事と話をしたりして、子供に心理的な負担がかからない方法で調査するよう調整してくださいました。ちなみにモラ刑事に会った方は、私と同様に憤慨していました。

 私は我が子への調査は不要だと相変わらず思っていました。ただ、警察の調査に例外を認めていたら、それが抜け道につながり、救いの手から漏れてしまう子供もいると自分を納得させ、娘に対する警察の聞き取り調査を了解することにしました。


 果たして、モラ刑事ではなく女性警官が子供の前に現れます。話の切り出し方も工夫していただき、「色んな子に協力してもらって調査しているんだけど」とソフトな表現になりました。この調査に親は立ち会えませんでしたが、穏やかに終わった旨、モラ刑事から告げられました。

 別居前の私と警察との関わりはこれでおしまいです。モラ刑事と初めて出会った時から、週単位で時が経っていました。


 この時の体験で、警察は一義的には「悪い人を懲らしめるところ」であって、「弱い人を助けるところ」ではないことを身をもって感じ取りました。

 刑事もののドラマや小説だと、かわいそうな被害者のために一矢報いてくれる刑事が登場しますが、彼ら(刑事)の基本的なインセンティブは被害者救済にはありません。法執行機関の一員として、法を遵守させるために違反者を取り締まるところが出発点で、最終的に被害者が浮かばれるかどうかは二の次です。

 悪いヤツを取り締まるためなら、被害者だろうが子供だろうが関わりのあった人間が、警察の都合のいいように協力する。――そう期待されているな、って、モラ刑事の言動からひしひしと伝わってきました。

 まあ、年上のモラ刑事を及び腰ながらもいなしてくれた刑事さんもいましたし、警察でも被害者のケアに取り組んでいることをだいぶ前からニュースなんかで見聞きします。もしかしたら、たまたま私の運が悪かっただけなのかもしれませんが。

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この頃に役立った本

 私はまだ幼い子供たちに、別居計画を秘密にしていました。しかし、離婚やシングル家庭というものが社会にはあることを、子供たちに自然に分かってもらえる本を探していました。やっと見つけたのは『いろいろ いろんな かぞくの ほん』(レビュー)です。この絵本では、母子家庭・父子家庭だけでなく、養子を迎えた家族や、同性カップルの家族など、タイトルどおりに色々な家族が登場します。我が家の保育園児も小学生も、よみものとして楽しく読みました。

 ちなみに、モラ刑事の性急さに接したときには、「私は子供向けの本を探し回ったり、慎重に事を進めようとしているのに!」と腹が立ちました。

 このときに見つけた子供向けの離婚本の一覧表は、以下の記事から参照できます。

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プロフィール

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 ある日、私は2人の子供を連れて、モラ夫から逃げて別居しました。私自身と子供を守るためです。

 私は年間100冊程度の本を読んでいます。好きなジャンルはファンタジーですが、多読しているのは実用書です。

 このサイトを訪れた方が、少しでも生活を改善したり、気持ちを前向きにしたりする情報を得られたら幸いです。

望木 幸恵

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