★★★☆☆
男の子も女の子も性的マイノリティの子も読める、性教育の本。
解説は奥歯に物が挟まった感じ…。
レビュー
本の位置づけ・あらすじ・著者
第二次性徴が始まる前くらいの子供に向けた、性教育の本です。男の子も女の子も読者として想定しています。
章立ては次のとおり。
- 第1章 女の子のカラダの変化 月経について
- 第2章 男の子のカラダの変化 精子について
- 第3章 どうして女? なんで男? 男女の性別
- 第4章 ぼくとわたしの心の変化 思春期について
- 第5章 わたし こんなとき どうしたらいい? 女の子の悩みあれこれ
- 第6章 ぼく こんなとき どうしたらいい? 男の子の悩みあれこれ
- 第7章 大人へのステップ セックスってなあに
- 第8章 課外授業 知っておこう 未来のために
- 第9章 みんな悩んで大きくなった Q&A 女の子編
- 第10章 みんな悩んで大きくなった Q&A 男の子編
- 第11章 あなたへのエール あなたの大切なもの
第1~8章と第11章はマンガ仕立てで、ところどころにコラムを挟みます。マンガの主人公は小学5年生の双子ちゃん(男・女)。友達や近所のお姉さんと情報を共有したり、保健のユーミン先生や近所のお兄さんの指南を受けながら知識を身につけていきます。
第9~10章では9問ずつ小中学生の質問に、ユーミン先生が回答しています。
編著・監修は中学校の養護教諭(ユーミン先生)が務めています。
感想等
私は一男一女のシングルマザーとして、この本を読みました。
この本の良いところは、男女共通で読める点。子供向けの性教育の本と言うと、だいたい女の子向けか男の子向けかに特化していますが、女子が男子について、男子が女子について理解することの大切さは、数々の本で説かれています。まあ、相手のことを知っているほうが、お互いに優しくなれますよねえ。
ただ解説の仕方として、学校で行われる性教育をそのまま引きずっている印象を否めませんでした。たとえば、マンガに登場する小学生たちが「生理」ではなく「月経」という、正しいけれど一般的でない呼称を用いている、とか。また第7章は「セックスってなあに」と題しているが、これに対する回答は無い、とか。避妊の仕方としてコンドームなどを紹介しているが使用法の提示はなく実践的でない、とか。分かる人が見たら分かるレベルの、抽象的な絵は添えられていますが……。
この本を読んだら、学校教育以上の知識は得られると思いますが、新たな謎も生まれるような気がします。親子の対話でその辺りを解決できれば問題ないのでしょうが……。私はもともと我が子への性教育がこっぱずかしくて、本に代弁させようと、性教育の本を探し回っています。この本はちょっと我が子に渡せませんでした……。なんか尋ねられそうで……。
ただこれは、性的マイノリティの子供には向いている本だと思います。その理由は、読者を男女で分けていないことがひとつ。
もう一点は、小中学生のリアルな声が紹介されているところ。たとえば「生理もあるし、生まれたときから女の子、でも女の子の気持ちになれない」「僕は女の子より、男の子に興味がある」「ブラジャーがだいっきらい」「同性愛の漫画にドキドキします」など。
なお、この本と同じマンガ家・編著者のペアで制作した、『マンガ レインボーKids――知ってる? LGBTの友だち』という本もあります。併せてご紹介します。
ご興味がありましたら、ぜひ本をお手に取って、中身をご確認ください。
まとめ
第二次性徴が始まる前くらいの子供に向けた、性教育の本。男の子も女の子も読者として想定
★★★☆☆ (もうちょっと実践的・具体的な情報がほしい)
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