★★★★★ ベストセラー
シングルマザー・シングルファーザー必読!
「3~10歳のお子さんを持つご家族」に向けた性教育の本。男の子にとって、女の子にとって、親として適切な対応とは何かを教えてくれる。
将来、息子をモラハラ夫・DV夫にしたくない方にも。
レビュー
本の位置づけ・あらすじ
主に「3~10歳のお子さんを持つご家族」に向けた性教育の本です。誤解無きように申し上げると、この本は親が子供に性教育を施すことだけを目的としているわけではありません。きちんとした性教育を受けてこなかった大人たちの「学びなおし」も大切にしています。
本の形態としてはマンガエッセイですが、途中にひとつひとつ充実したコラムがあります。その数14個。挿絵があったり、小さいフォントの文章で丁寧な解説があったり。
著者のフクチマミ氏(マンガイラストレーター)や出版社の編集・営業の方が、いわば読者代表として、家庭の状況を示しながら専門家に相談しています。回答するのは、もう一人の著者 村瀬幸浩氏。「長年 性教育に携わっている」と本の中で自己紹介されています。
章立ては次のとおり。
- 1章 おうち性教育=子どもの幸せを守るための教育です
- 2章 おうちでまず伝えたい3つのこと
- 3章 親も一緒に! からだとこころを学ぼう
- 前編(教え方~男の子編)
- 後編(女の子編~受精・出産)
- 4章 こんな時どうする! 性のはなしQ&A
- 5章 大人が知っておきたい これからの性の話
第3章では、男の子と女の子に分けて、局部の洗い方なんかから説明が始まります。また、子供が何ら知識を持たないまま、精通・生理が始まったらビビりますよね。その辺りを解説し、誰がどう子供に説明するのがいいか、まで述べています。また学校では性交について教えてくれませんが、この本では正しい知識を授けてくれます。さらには妊娠・出産までが守備範囲です。
なかなか子供に説明したり、子供の質問に答えたりするのが難しい分野ですが、具体的になんて言えばいいのか、たくさんの例が示されています。その中から、もっとも私の役に立ったアドバイスをひとつご紹介します。答えづらいことや、知らないことを子供に聞かれたときの対応です。
いい質問だね 調べておくよ
こう言うといいよ!!
その代わり 後でちゃんと調べて 答えてあげてね
質問されたときは 決して否定したり からかったりしないこと
本の選定理由
日本の性教育は遅れている。海外には、言葉を話し始めたくらいの子供に性教育をしている国もあるらしい。学校では大したことを教えてくれない。性教育の不足がモラハラとかDVとかを助長しているっぽい――それほど感度を高くして性教育に関する情報を集めていたわけではありませんが、私はこのようなふわっとした危機感を心のどこかで抱いていました。
また身近な例で言うと、我が子の防犯意識の低さが気になっていました。「電車で乗り合わせた女性の体に触れた男が逮捕された(痴漢)」というニュースに接して、なにが問題なのか分からない娘(小学生)……。いや、お母さんが娘ちゃんを抱っこするのとは違うんだよ……。
そんな矢先、この『おうち性教育はじめます』が話題になり、即買いしました。第二次性徴が始まる思春期よりも前の子供を対象にした本は、珍しかったです。
また、DV、モラハラ、虐待なんかをメインに扱っているこのサイトで、この本をピックアップしたのは、その素地となり得る「支配の性」について触れているため。支配の性とは「相手を対等の存在と考えず 自分のいいなりにさせようとする性行為」とのこと。
さらにシングルマザーの私としては、上の子(娘)はともかく下の子(息子)の性教育なんて見当もつきませんでした。息子にはたいてい父親が指南するものでしょうが、ウチには父親がおらず…。この本は、息子がいるシングルマザー、娘がいるシングルファーザーには必読の書です。
感想
読む前に私が想像していたよりも、情報の深度が深く、また情報の量も多かったです。知らない情報が多々ありました。特に男子関連の情報。
また自分が知識を得たとしても、子供にアウトプットするステップこそ難関ですが、どういう態度で何て言えばいいのか、例が豊富で実用的でした。マンガの登場人物の方々も同じように悩んでいて、私だけじゃない、って安心しました。
そして我が家でもちょっとずつ本の内容を実践しています。やってみて分かりましたが、子供が幼いうちに説明しちゃったほうが、こっちもラクだし恥ずかしくない。子供は性的な興味や恥じらいは置いておいて、「人体の神秘」として耳を傾けてくれます。
また、マンガでさらっと読めるので、人に読んでもらうにも、この本は適しています。たとえば、息子が思春期に差し掛かったら、説明を頼もうと考えている身内の男性とか。あるいは、性的な虐待・いじめに遭っているなどの事情がなければ、中学生・高校生くらいの子供にこの本を読ませてもいいかも。
この本は幼い子供がいる親の中でも、特にシングルマザー・シングルファーザーにおすすめです。ぜひお手元においてください。
まとめ
主に「3~10歳のお子さんを持つご家族」に向けた性教育の本。大人の学びなおしにも。
★★★★★ (特に息子に関して、知らなかったらヤバかったと思う情報があった)
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