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各種の「パーソナリティ障害」について解説。自己愛性パーソナリティ障害と境界性パーソナリティー障害は詳述。特徴、本人のつらさ、自分でできること、家族の対応、周囲の対応など。
イラスト入りで分かりやすい。
レビュー
この本では各種の「パーソナリティ障害」について一通り説明しています。対象は以下の3グループ・10個のパーソナリティ障害。括弧の中の一言は、本で添えられていた記述をそのまま引用しました。
- Aタイプ(風変わりな人)
- 妄想性パーソナリティ障害(疑り深い)
- シゾイドパーソナリティ障害(孤独を好むように見える)
- 統合失調型パーソナリティ障害(思い込みが強い)
- Bタイプ(激しい人)
- 演技性パーソナリティ障害(いつも自分を見てほしい)
- 反社会性パーソナリティ障害(してはいけないことを平気でする)
- 自己愛性パーソナリティ障害(「すごい自分」しか認められない)
- 境界性パーソナリティ障害(不安定で極端な人間関係)
- Cタイプ(不安な人)
- 回避性パーソナリティ障害(立ち向かうことをとことん避ける)
- 依存性パーソナリティ障害(自分で決められない)
- 強迫性パーソナリティ障害(ルールを死守する)
この中でも「最近とくに多い」という自己愛性パーソナリティ障害と境界性パーソナリティー障害のふたつは、別途、章立てされています。特徴、本人のつらさ、自分でできること、家族の対応、周囲の対応に関して詳しい解説があります。
内容自体や登場人物の絵柄によれば、パーソナリティ障害がある人として、若い学生・社会人あたりを想定しています。本人や親が読むと、役に立つ情報が得られます。ただし、取り上げている関係は親子に限定せず。自己愛性パーソナリティ障害の章には「夫へ 妻へ 本人に治す意識がないとむずかしい」と題したコラムもあります。
以下は、本の位置づけについて、「まえがき」からの引用です。
パーソナリティ障害は、適切な精神療法と、家族や周囲の人の接し方によって、必ず改善できるものです。
(略)
しかし、パーソナリティ障害の治療をおこなっている医療機関は、たいへん少ないのが実情です。そこで本書では、自分でできることを考えてみました。(略)この本が、回復へのヒントとなり、患者さんと周囲の人が、よりよい関係を築く一助となれば幸いです。
なお、お断りしておきますと、この本では(他の本でも)「DVやモラハラの加害者は、自己愛性パーソナリティ障害や境界性パーソナリティ障害だ」「DVやモラハラの原因はパーソナリティ障害だ」とは言っていません。
ただ「モラハラ」という用語を日本に紹介した書籍『モラル・ハラスメント――人を傷つけずにはいられない』(マリー=フランス・イルゴイエンヌ 著、レビュー)では、モラハラの加害者について「自己愛的な変質者」と称しています。正式に専門家の診断を受けた、正真正銘のりっぱな自己愛性パーソナリティ障害ではなくとも、DV夫・DV妻やモラハラ夫・モラハラ妻にそうした傾向はあるでしょう。私自身(元・モラ夫持ち)の経験からしても、自己愛性パーソナリティ障害の特徴は、ヤツの言動とダブるところがあります(たーくさん)。
この本の良いところは、イラストがたっぷり、ひとつのトピックが見開きで完結、二色刷りと、とっつきやすい点(内容はラクじゃありませんが)。「パーソナリティ障害」という側面から、モラ夫・モラ妻について考え、対策したい方におすすめいたします。
まとめ
各種の「パーソナリティ障害」について一通り説明。自己愛性パーソナリティ障害と境界性パーソナリティー障害は詳述。特徴、本人のつらさ、自分でできること、家族の対応、周囲の対応など。
★★★★★ (図解で分かりやすい)
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