本『読んだら一生お金に困らない N/S高投資部の教科書』のレビュー

おすすめポイント

★★★★★

お金や企業の本質を学び、個別株に投資を行う。

実際に高校の「投資部」で行われた金融教育が1冊の本になったもの

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レビュー

本の位置づけ・著者・監修者

 通信制高校の課外活動「投資部」で行われた金融教育が、1冊の本にまとめられました。この部活は実践を伴います。つまり個別株を売買するのです。欲にまみれた大人としては、儲けるテクニックに目が向きがちですが、高校生はお金や企業・経済についての基本・本質からきちんと学んでいます。企業のIR担当者を訪問するなど、大人でもちょっとできないこともやっています。

 著者は部員たち(N/S高投資部)、監修者は顧問(村上 世彰氏)。本の奥付に併記されていた、著者と監修者の紹介文を引用します(たぶん、この説明が一番分かりやすい)。

N/S高投資部

インターネットと通信制高校の制度を活用する「ネットの高校」として話題を集めるN高等学校・S高等学校の部活動。高校生の時期から株式投資に挑戦することで、社会や経済の仕組みを実践的に学ぶことを目的としている。部員は、村上財団や角川ドワンゴ学園から提供される運用資金20万円を元手に、村上世彰特別顧問による講義やフィードバック、外部講師の特別授業を受けつつ、自分の頭で考えながら株式投資を実際に経験することで、お金や投資の本質について学んでいる。

村上世彰(むらかみ よしあき)

1959年大阪生まれ。東京大学法学部卒業後、通商産業省(現・経済産業省)に入省。日本経済の持続的な成長のためにはコーポレート・ガバナンスの普及が重要であることを実感し、40歳を目前にファンド会社を設立。現在はシンガポールに拠点を移して投資を行う。また、二歩の社会的課題の解決に寄付を通じて貢献したいという想いが募り、村上財団を創設。働く女性の労働・生活環境のサポート、未来の日本を創る中高生の金融教育や社会支援に積極的に取り組んでいる。

 章立ては次のとおり。タイトルの「一生お金に困らない」という伏線を回収するのは、最後の6時間目なので、ここだけサブセクションも抜き出します。

  • 1時間目 お金はお金を生む卵
  • 2時間目 貯めたお金を「株式投資」で増やす!
  • 3時間目 「期待値」がお金を増やす!
  • 4時間目 「価値」と「価格」のギャップを探す!
  • 5時間目 シナリオをもとに売買する!
  • 6時間目 一生お金に困らない人生を手に入れる!
    • 6-1 大人の常識は子どもの非常識
    • 6-2 大人も知らない未来の働き方
    • 6-3 これからの投資家に求められること
    • 6-4 自分なりの幸せの基準を持つ
    • 6-5 N/S高投資部 お金に振り回されない宣言!

 本の見てくれとしては、黒とオレンジの2色で絵・図・表がたっぷり掲載されていて、非常にとっつきやすいです。

感想・本の選定理由等

 タイトルを見た時の第一印象は、「一生お金に困らない」とか「投資」とかうさんクセえ!「ぜっっったい儲かりまっせ」みたいな、売らんが精神ミエミエの投資話?「物言う株主」として一世を風靡した投資家 村上世彰氏が関与したのでなければ、この本を手に取っていませんでした。

 シングルマザーの私にとって、そして我が子たちにとって、この本がどんなふうに役立つか考えてみました。

 まず「6時間目 一生お金に困らない人生を手に入れる!」の内容が、私への示唆に富んでいる! 高校生に向けて書かれているので、適宜読み替える必要はありますが、人生経験を積んだからこそ、実感を伴って理解できました。たとえば以下のような記述があります。

 大切なことは1つです。
 君にとっての幸せを実現するために、道具としてのお金を手に入れることです。
 自分が今、何をするのが幸せなのかという軸を持たないと、ただただお金を貯めるだけの人生になります。

 そう思う! 子供たちを自立させて、自分の老後の面倒を最後まで自分でみる――これが、私の夢です。人に「夢」として語れるほど大層なことではありませんが、自覚した上で日々の生活を回していると、お金に追い立てられている感が薄れ、目標に向かっている気分になれます。それに気持ちの面だけでなく、実際のお金の算段にも役立つのです。必要になるお金の見当をつけて、具体的な金策に進めます。

 そして「道具としてのお金を手に入れる」方法についても、発想の転換を促されます。

  • 時代が変われば働き方も変わる
  • 投資を通じてお金にも働いてもらう
  • 成長するための「自分への投資」も大事

などと、自分の環境と照らし合わせて考える「とっかかり」を与えてくれます。子供が小さいから(外に出て一日中は)働けない環境であったとしても、今の時代なら別の働き方や投資などを通じて、お金を手にいれる方法はある、と分かります。

 大金持ちになるには親の世代からの格別の支援なり、類まれな能力なりが必要でしょうが、お金に困らない人生を歩むことなら、普通の人でもできそう、という気持ちになりました。

 一方、我が子にとっても、実際に投資の第一歩を踏み出すときには、この本は大いに役立つと思いました。一口に投資といっても、不動産投資だとか、株式投資でも投資信託だとか、お金じゃなくてポイントで行う投資とか、FXのような投機的なものとか、色々とありますよね。大金が必要だったり、派生的な商品のためにお金の本質が見えづらかったり、ハイリスクすぎたり、子供には向かないと思っていました。その点、この本では経済を動かす企業を研究し、個別株の売買を行います。社会勉強と兼ねて金融の基礎・基本を押さえる点が素晴らしい!

 本の難易度としては、高校生くらいにならないと理解しづらいかなと思います。

 この本には、チート的な一攫千金の手法が載っているわけではありません。しかし一念通天の気持ちで取り組めば、一生お金に困らなさそうな考え方がホントに書いてあります。大人も子供も、ぜひご一読を!

読んだら一生お金に困らない N/S高投資部の教科書

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まとめ

要約

お金や企業の本質を学び、個別株に投資を行う。「一生お金に困らない」考え方も示す

評価(お役立ち度)

★★★★★ (大人にも分かりやすい)

基本情報
  • タイトル:読んだら一生お金に困らない N/S高投資部の教科書
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  • 著者:N/S高投資部
  • 監修者:村上 世彰
  • 出版社:東洋経済新報社
  • 発行日:2021年12月23日

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プロフィール

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 ある日、私は2人の子供を連れて、モラ夫から逃げて別居しました。私自身と子供を守るためです。

 私は年間100冊程度の本を読んでいます。好きなジャンルはファンタジーですが、多読しているのは実用書です。

 このサイトを訪れた方が、少しでも生活を改善したり、気持ちを前向きにしたりする情報を得られたら幸いです。

望木 幸恵

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