★★★★★ ロングセラー
自己愛人間の思考回路や、そうした人への対処法が分かる。子供を自己愛人間にしないために、親が取るべき態度も提示する。
「解説」「対策」「子供への対応」の3つの領域にアプローチ。
モラ夫・モラ妻がこの本の中に。
レビュー
この本では自己愛人間(ナルシシスト)を取り上げて、その思考回路や自己愛人間が生まれる要因について解説しています。また自己愛人間当人への対処法だけでなく、子供を自己愛人間にしないために親が取るべき態度も提示。
なお少数の、自己愛性パーソナリティ障害(自己愛性人格障害)と診断された人を「自己愛人間」と称しているわけではありません。家庭にも職場にもいる、自己愛の傾向がある人々をも含めた呼称です。
「モラハラ」という用語が広まるきっかけとなった書籍『モラル・ハラスメント――人を傷つけずにはいられない』(レビュー)では「精神分析医たちの間では、<自己愛的な変質者>――すなわちモラル・ハラスメントの加害者は<症状のない精神病者>だと考えられている」と述べています。
この記事で取り上げた『結局、自分のことしか考えない人たち』では「モラハラ」という用語こそ使っていませんが、モラ夫・モラ妻・モラ親・モラ同僚なんぞが登場します。
本の目次は次のとおり。
- イントロダクション 彼らはどこにでもいる
- 第1部 自己愛人間の7つの大罪
- 1 大罪その1 恥を知らない
- 2 大罪その2 歪曲して、幻想をつくり出す
- 3 大罪その3 傲慢な態度で見下す
- 4 大罪その4 ねたみの対象をこき下ろす
- 5 大罪その5 特別扱いを求める
- 6 大罪その6 他者を平気で利用する
- 7 大罪その7 相手を自分の一部とみなす
- 第2部 自己愛はどこから生まれるのか
- 8 乳幼児期の自己愛と、「わたし」の誕生
- 9 自己愛の肥大した親
- 第3部 自己愛人間から身を守る4つの戦略
- 10 戦略1 自分を知る
- 11 戦略2 現実を受け入れる
- 12 戦略3 境界を設定する
- 13 戦略4 相互関係を築く
- 第4部 あなたのまわりの自己愛人間たち
- 14 青春期の自己愛人間――どこまでが普通か
- 15 自己愛と依存症――共通する恥の感情
- 16 恋に落ちた自己愛人間――融合妄想
- 17 職場の自己愛人間――権力の乱用
- 18 歳をとった自己愛人間――鏡のひび割れ
- 第5部 子どもを自己愛人間にしないために
- 19 自己愛社会を生きる
- 20 よい親になるために
私はモラハラ夫(元)と子供2人がいる状況で、この本を読みました。モラ夫の子供への言動がおかしいんじゃないかと思いまして。
最後のセクション「20 よい親になるために」では、7通りの間違った親の態度を挙げています。私はこれを読んで、モラ夫の態度は「間違った親の態度」そのものであることを確信しました。ただ、この本で示されていた対策は「モラ夫がどう改めるべきか」です。「モラハラ夫の妻である私が、我が子をどうフォローすべきか」については、いったん立ち止まって考える必要がありました。
この本は解説・対策・子供への対応の3つの領域を押さえています。「自分のことしか考えていない」と感じる人が身近にいて、一通りの情報を得たい方におすすめいたします。
まとめ
自己愛人間の思考回路、そうした人への対処法、子供を自己愛人間にしないために親が取るべき態度を提示
★★★★☆
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