★★★★★
「お金」についての真っ当な向き合い方を教えてくれる本。
子供(10代前後)にも大人にも分かりやすい。
レビュー
本のあらすじ・位置づけ
これは10代くらいの子供に向けた、お金の解説書です。
なんだかちょっとイヤ~な感じがするでしょうか? 子どもはお金のことなんて考えなくていい――そう考える大人が、この国には少なくない、と「はじめに」にも書かれています。
一方、この本(文庫版)の裏表紙には、次のような案内文があります。
お金は汚い、お金儲けはいやらしい。そう決めつけて、お金について学ばないのはもったいない。なぜなら、お金は人を幸せにする便利な道具だから。好きなことをして自由に生きる。困っている人を助けて社会を良くする。そのためにはお金をどう稼いで使って増やしたらいいのか? 誰よりもお金に詳しいプロが、お金との付き合い方を教えます。
同様の趣旨は、他の(真っ当な)お金の本でも常に言われています。このサイトで取り上げた『欲張りな女」になろう。――経済的に自立する61の方法』(レビュー)にも「21. お金がないことが苦労ではない。お金の話ができないことが、苦労である」という章があります。
前段が長くなりましたが、これはお金の本の中でも、小ずるい部類のヤツなんかではなく、正統派の書籍です。お金とのまっとうな付き合い方を教えてくれます。
本の内容は、目次(以下)でご確認ください。
- お金って何だろう?――お金のことを知ってお金に強くなる
- お金と世の中の関係――プライスタグから世界が見える
- 君がお金を手にする方法
- 働き方が大きく変わる
- 稼いだお金を貯めて増やす
- お金と向き合うための覚悟――お金が凶器に変わるとき
- とっておきのお金の使い方
感想等
この本は書き手がすばらしい! 国家公務員として通産省(現 経済産業省)に勤務、投資ファンドを運営、といった輝かしい経歴以上に、子供の頃のエピソードに私は感嘆しました。たとえば以下。
両親に「おこづかいちょうだいちょうだい」とよくせがんでいましたが、そのお金で何かを買おうという気持ちは起こりませんでした。もらったお金はすぐに貯金していました。

えっ! 何か欲しくならないの?
著者は金欲にまみれて「お金が大好き」と言っているわけではなく、興味の対象、趣味がお金なんでしょうね。子供って、電車やら虫やらに興味を持ちますよね。「趣味」という単語すら知らない幼い時期は、もっとフリーダムに単にキラキラするものとか、落ち葉とかが好きで拾い集めたり。その対象がたまたま「お金」だった。著者のお金との向き合い方に熱量を感じました。
この本の良いところをもう1点。なんと言っても分かりやすい! 著者は子供に対面で「お金の授業」を行っており、そのときの子供の反応が織り込み済みなんでしょう。大人の私でも、新たに理解できたことや、洞察を得たことがありました。
さて、この本では「さいしょに4つの大切なことを覚えてもらいたい」として、以下を挙げています。
- 自立して生きていくためには、お金は絶対に必要である ← 一番大切
- やりたいことをやるには、余分なお金があったほうがいい
- 困ったときに、お金は君を助けてくれる
- 君がお金を持っていれば、人を助けることができる ← おまけ
モラハラ離婚したシングルマザーの私にとって、一番目の教えが身に沁みます。モラ夫の経済力頼みで離婚しないでいたら、精神的にツラかった……。
でも別居して、一馬力で子供を育てていくには、当然、お金は必要なんですよね。その時にがむしゃらに働くのも一つの手ですが、意識を変えると、別のやり方も見つかります。この本は、そうした意識改革に役立ちました。
また、将来、我が子にもお金に困窮してほしくなく、自分で食べていけるようになってほしい。なので、この本は、子供用の本棚に並べました。
お金、性、インターネットなど、子供も成長とともに関わらざるを得ません。ダークな部分を強調しすぎてタブー視するのではなく、年齢に応じて勉強していってほしい。私は我が子に対して、このように思っています。まあ、自分では教えられないので、私は趣味の読書を活かして、子供に良書を渡す派なんですが。
子供にも大人にもご一読をおすすめいたします。
なお、もし投資に興味をお持ちでしたら、同じ著者による株式投資の指南書があります。レビュー(書評)を以下の記事に掲載しました。ぜひご確認ください。
まとめ
「お金」の解説書
★★★★★ (紙の本を買って、我が子の本棚に置いた ← 子供に読んでほしいときに、私が取る方法)
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