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多種多様な習い事の実態を明らかにしながら、習い事との関わり方を提案する本。エリート教育における教育虐待にも触れている
レビュー
本の内容
この本は、各種の習い事の実態を丹念な取材・調査で明らかにしています。習い事の種類としては、サッカー、野球、水泳、柔道、バレエ、ピアノ、英会話といったメジャーなものから、そろばん教室、ボーイスカウトのような伝統的なもの、プログラミング、ストリートダンスなど親世代が子供の頃には馴染みが薄かった習い事にまで及んでいます。
子供が習い事を始める前に読むのがもっとも効果的ですが、途中で習い事に関する疑問点や、困りごと、悩みが生じたときにも役立ちます。著者はこの本の位置づけについて、「はじめに」で次のように述べています。
そこで本書では、いま一度地に足を付けて、そもそも習い事は何のためにするのか、どうすればわが子に合った習い事経験ができるのかを考察する。どんな習い事を選ぶべきか、どうやって子供のやる気を持続させればいいか、やめどきをどう判断すればいいか……。習い事に関して親がやらなければいけない一連の活動、すなわち「習活」の全体像を示す。
- どんな習い事も、最初は「楽しければいい」ところから始まる
- レベルが上がっていったとき、金銭的に、時間的に、体力的に、親の役割的に、どんな負担が増えるのかを知っておくに越したことはない
ということで、習い事の種類別に「エリート育成ピラミッド」の解説があります。
その後、第4章で「受験エリート」より過酷な「習い事エリート」が登場します。子供自身が自分の意思でがんばっている例もあれば、「試合に負けると暴力を振るう親もいる」と題するセクションもあります。
選定理由・感想等
子供の習い事に関心がある方一般に役立つ本ですが、なぜこのサイトで取り上げたかといえば、教育虐待について扱っているため。「狂騒曲」というタイトルが示すとおり、習い事の良い面だけでなく悪い面にも目を向けているのがこの本の特徴です。
習い事の効果を強調する広告や営業情報に接する機会は多いですが、ネガティブな情報を頭に入れておけたらいいな、と思いました。
習い事への向き合い方に疑問や違和感を感じる方に、特におすすめいたします。ぜひご一読ください。
なお教育虐待の解説記事は以下です。よろしかったら併せてご参照ください。
まとめ
多種多様な習い事の選び方や、教室の探し方、上達したときの進路などを解説。教育虐待にも触れる
★★★★★ (習い事の教育虐待に関する本は少ない。この本で情報を得られた)
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