「なぜDVをするのか?」「悪いと思っていないのか?」「夫は変わるのか?」DVの加害男性のことを知りたいなら、この本一択。著者は、加害男性向けに教育プログラムを実施する団体の代表。
加害者を擁護する内容はない。
レビュー
この本では、DV(モラハラを含む)の加害男性について取り上げています。
「なぜDVをするのか?」「悪いと思っていないのか?」「モラ夫は変わるのか?」うちのモラ夫(元)に関する疑問への回答は、数ある書籍の中でこの本の説明が一番しっくりきました。
著者はNPO法人「アウェア」を運営。アウェアのWebサイト(以下)では「DV被害者支援」「DV加害者プログラム」「デートDV防止プログラム」の順に活動内容を掲げています。
この本では、アウェアに面談に来た加害男性約700人、DV加害者プログラムに参加した加害男性約350人の話を元に、加害者の実体を明らかにしています。DV本やモラハラ本は、精神科医やカウンセラーなど被害者を支援する専門家が書いたものが多いです。加害者と直接対峙している著者による「加害者」の解説は、他と説得力が違うように感じました。


私のモラハラ対策のバイブルは『カウンセラーが語るモラルハラスメント』(レビュー)なのですが、こと加害者論に関しては『愛を言い訳にする人たち』に一票を投じます。
また、DV加害者プログラムでは何をするのか、何がきっかけでDV夫が参加するようになるのかなど、他の本では得られない情報を知ることができました。本のタイトルにあるとおり、DV加害男性が語る生々しい「告白」も掲載されています。
ただ、この本は単なる加害者についての解説本というわけではありません。「はじめに」では、次のように述べています。
本書が、DVをしている人には自分のしていることに気づくきっかけに、DVをされている人には相手のDVを見抜いて自分自身を取り戻すきっかけに、また、社会に根強く残る、DVに関するまちがった俗説が訂正されるきっかけになればと思います。
全編を通じて、被害者に寄り添う姿勢や、DVを許す日本社会に対する憤りを感じました。
この本の最後の最後で、著者は「加害者かもしれないあなたへ」「被害者のあなたへ」「当事者でないあなたへ」と、三者に向けて語りかけています。この本の対象読者はこれら三者です。加害者が読むのは厳しいかもしれませんが、いずれの三者にも良い方向へ進むための一助となります。よろしかったらお手に取ってください。
まとめ
DVの加害者や、その教育プログラムについて詳細に解説。DVが行われる社会的な背景を紹介した後に、目指すべき社会を提言。子供への影響も取り上げている。
★★★★★ (うちのモラ夫は、加害者プログラムに参加さえできないと、本を読んで悟った)
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