児童虐待をモチーフにした、天童荒太氏による長編小説。1999年に出版、2000年に「日本推理作家協会賞」の受賞とテレビドラマ化を果たす。ミリオンセラー。
この本を支えにしている、という読者の声も寄せられている。
レビュー
(ネタバレなし)
この本では、ありとあらゆる種類と言っていいほどの児童虐待が描かれていて、心が塞ぐ場面もあります。しかし、救いがない話で終始するわけではありません。作者の天童荒太氏はあとがき(文庫版・五・言葉)で次のように述べています。
多くの読者と信頼関係が生まれた作品であり、『永遠の仔』を支えにしていらっしゃる方々の存在も聞き知っています。
巻末で挙げられた参考文献の多さに目を見張りました。10ページ(文庫本版)を費やしていましたが、それで主要なものだけだそうです。小説らしい話の盛り上がりはありましたが、親子間の具体的なやり取りなど細かい描写に、リアリティを感じました。作者ご自身は被虐待児というわけではないそうです。
作者があとがきで「読者の方に、これだけは誤解しないでいただきたいことがあります」と述べている内容を引用します。
それは……虐待を受けた人が、親になったら、必ず虐待をするようになるということは、決してありません。(略)ひどい虐待を受けても、だからこそ、自分の子どもには手をあげないと心に決め、しっかり子どもを育てている人は、大勢いらっしゃるし、わたしの身近にもいます。
そして、心にひどい傷を受けた人が、幸せになれないなんてこともありません。 支えてくれる人がいたおかげで、いまはとても幸せだとおっしゃる読者からのお手紙を、数多くいただきました。
単行本版は上下2巻セット、文庫本版は一~五の5巻セットです。単行本と文庫本で、記述は厳密には一致していませんが、ほぼ同一です。
まとめ
児童虐待をモチーフにした、天童荒太氏による長編小説。
★★★★★ (陰鬱な気持ちにもなるし、救いも感じる)
- タイトル:永遠の仔
- 作者:天童荒太
- 出版社:幻冬舎
- 発行日:1993年(単行本)、2004年(文庫本)
- 単行本
- 永遠の仔・上
- 永遠の仔・下
- 文庫本
- 永遠の仔・1・再会
- 永遠の仔・2・秘密
- 永遠の仔・3・告白
- 永遠の仔・4・抱擁
- 永遠の仔・5・言葉
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