★★★★★
具体的で、すぐにできて、お金がかからない防災対策が満載
レビュー
入手方法は後述します。
黄色い表紙の『東京防災』をご存知の方や、すでにお持ちの方は多いと思います。2015年に東京都が都内全世帯に配布しました(ポストイン)。その充実した内容からすぐに話題となり、他道府県の住民からも「ほしい」という声が上がりました。
この記事で取り上げるのはピンクの表紙の『東京くらし防災』です。
都が「災害対策をしない理由」を尋ねたアンケートによると、「具体的な方法がわからない」が第1位の53.3%を占めていました。この冊子は、それに応えるもので、つまり具体的で実践可能な防災対策が満載です。
また東京都防災ホームページには、女性の視線で作成したことが明記されています。以下、引用します。
都は、女性の防災への参画を促すとともに、都民の一層きめ細やかな災害への備えを促進することを目的として、女性の視点から防災ブック「東京くらし防災」を作成しました。
(略)
都民が自然体で、日常生活の中で、無理なく取り組める防災対策や、避難所における授乳や防犯対策などの被災生活の様々な課題への対処法を掲載しています。
この冊子は無料または安価で入手できますが、完成度はものすごく高かったです。内容的に良かったポイントを3つ挙げます。
1. 上の引用に「無理なく取り組める」と書いてあるが、本当にそうだった
第1章は「はじめよう、たすかる暮らし方」という名前ですが、日頃のちょっとした心がけでできる対策だけが載っています。高価な防災用品を購入するのではなく、気持ちひとつで実践できます。
特に我が家で役に立ったのが「片付けでできる防災」というセクションです。子供(怖がり)がクローゼットやらタンスやら戸棚やら、やたらと扉を開けたままにしていたのですが、「今地震が来たら、物が落ちてきて危ない」ことに気付き、閉めるようになりました(たまに忘れる)。
まあ、子供がズボラなのには訳があって、母親である私の遺伝なんですが……。私も「今、地震が来たら、明日から料理ができない」と思って、使った鍋・釜・食器を放置せずに洗ったり、「今、地震が来たら、着替えが2日で尽きる」と思って、溜め込まずに洗濯するようになりました(たまに忘れる)。
2. 防犯対策が載っている
第3章「想定しよう、被災後の暮らし方」で「在宅避難での防犯」と「避難所での防犯」に触れています。火事場泥棒的な利益を狙った犯罪も怖いですが、子供・女性など弱いところを突いてストレスのはけ口にする犯罪も怖いです。子連れモラハラ離婚済みの私は、後者のタイプの人が実在することをよーく知っています。そこに一定の対策が示されています。
3. 読みやすい
表紙の絵の3人の女性、わたし(26歳、猫とふたり暮らし)、お姉ちゃん(4歳の女の子のママ)、お母さん(子供たちが巣立った家で夫と暮らす)がキャラクターとして登場します。私は自分を「お姉ちゃん」に投影して読みやすかったです。
また冊子の作りにも工夫を感じました。カラー印刷で、挿絵や1コマ漫画がどのページにもあります。私の母(老眼)は「文字が大きくて読みやすい」と言っていました。
我が家の場合は、怖がりの子供が発破をかける形で防災対策が進んでいます。また「地震後の家の中の片づけは避けたい」との思いが、私のモチベーションを高めています(ズボラなので)。お金も時間もかけられないシングルマザーの私に、この冊子はぴったりでした。
入手方法
『東京くらし防災』は都内在住でも自分で手に入れる必要があります(配布なし)。冊子の形態(紙かデータか)や、どこで入手するかで金額が違います(正規の書籍ではない)。
なお英語版、中国語版(簡体字及び繁体字)、韓国語版もあります。
『東京くらし防災』の情報は都民かどうか、女性か男性かに関係なく、すべての人に役立ちます。防災用品のひとつとして、ぜひお手元に置いて、有事にお役立てください。
まとめ
東京都が女性の視点から作成した防災対策の冊子。「第1章 はじめよう、たすかる暮らし方」「第2章 覚えておこう、発災時の基礎知識」「第3章 想定しよう、被災後の暮らし方」の三章から成る。
★★★★★ (お金・時間・手間を気にせずにできる防災対策が満載)
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