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マンガの分かりやすさと、文章・データによる情報量の多さを両立した、防災についての本。
手元に置いて、有事の際、元の生活を取り戻すときまで参照したい。
東日本大震災から10年が経過しました。関連の報道を頻繁に目にします。心理的なストレスがありながらも被災者が辛い体験を語るとき、「今後のために」という思いを明かされています。私は本当に小さなことしかできませんが、その思いに応えて、せめて我が家の防災対策を進めます。
レビュー
分かりやすさと情報量の多さを両立した、防災についての本です。1ページの中でひとつの防災情報を4コママンガで端的に表現。さらに文章や挿絵も加えて、詳細な解説になっています。数値化されたデータも掲載。以下はその一例です。
収容避難所には住民全員が避難できません
阪神淡路大震災でもっとも多く収容したときでさえ住民の16%でした
諸島を含む東京都の収容人数は都民の約23%です
扱っている災害の種類も幅広い。地震を中心に、火災、豪雨、竜巻、雷など。
また災害発生前の備えから、発災時の身の守り方、被災直後の片付け、被災後しばらく経ってからの心のケアや各種の行政手続きまで、長い期間、役に立つ情報が盛りだくさんです。「流れ着いただれかの家具はどう処分?」のような、考えてもみなかった問題の回答もありました。
著者の肩書は防災士 兼 イラストレーター。専門がふたつあるって素晴らしいですよね。
2011年3月11日の東日本大震災の10日後からブログを始め、2014年に書籍化(旧版)。この記事で取り上げた新版は2019年に発行されました。新刊では放射能や津波に関する記述は縮小され、豪雨災害やトイレの記述は拡充されました。その他にも社会や行政の対応の変化に伴い、細々と情報がアップデートされています。ただしコロナ禍の前に発刊されたので、コロナ関連の話題はなし。
私が「この本、いいな!」と思ったのは、メンタルケアに触れている点。「非常時の心の保ち方」というセクションでは、以下の記述がありました(太字は原文ママ)。
人が気を張っていられる時間は、3週間が限界といわれているため、そこを境に、急激に体調や精神が悪化する場合があります。3週間を過ぎたら、意識して休息をとりましょう。
また自分自身だけでなく、子供のことも。
親の不安が子どもに伝わります
その子のわかるレベルで話をしてあげてください
最後に、抱きしめて安心させてあげてください
一緒にいるからだいじょうぶだよ
こういう情報をあらかじめ知っているのと知らないのとでは、イザというときの私のオタオタ度合いが違うはず。シングルマザーの私としては、有事に私自身が子供の不安をあおらないようにしたいな、と思っているんです。
著者は母親でもあり、赤ちゃん・子供関連の記述がそこかしこにあったのも良かったです。
タイトルにある「ハンドブック」の名が表すとおり、手元において有事に見返したい1冊。記事執筆時点でKindle Unlimited(Amazonの電子書籍読み放題のサービス)対応なので、ご契約中の方はぜひ一度お目通しを。
まとめ
1ページの中でひとつの防災情報を4コママンガで表現。さらに文章や挿絵を用いて詳細な解説を加える。
★★★★★ (分かりやすかった。情報が多かった)
- タイトル:新 みんなの防災ハンドブック――4コマですぐわかる
- 著者:草野 かおる
- 出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワン
- 発行日:2019年2月21日
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