★★★★★
お財布や体に優しく、手間もかからない家庭料理の本
レビュー
年収200万円でも、楽しく暮らすヒントがいっぱい。
表紙の下部に、白い文字でこのように書いてあるのを確認できるでしょうか? これはお財布に優しい家庭料理の本です。しかも体にも優しいのです。
タイトルは「食いつなぐ」ではなく「食べつなぐ」。なんか上品!
ジャンクフードで食いつなぐわけではなく、丸ごと野菜や塊肉、丸鶏、丸魚、乾物(豆、雑穀、海藻)、芋なんかを食べつないでいきます。なんとなれば東京都と神奈川県の境を流れる多摩川の土手や、都会の公園、あるいはただの街中で採取した食材も登場します。
そして手間暇もかかりません。「漬ける」「干す」「蒸す」というサブタイトルにはちょっとビビりましたが、大丈夫でした。たとえば大根の皮なんかは、キッチンでコップの口に渡しておしまいです。干すというか、放置する……?
「食べつなぐ」の意味について、著者は次のように述べています。
漬けものと乾物は、食べきるまでの時間をちょっと長引かせて、
毎日の自炊を楽にするためにつくるのです。
私はこれを「食べつなぐ」と呼んでいます。
なおこの本は、調理の手続きが写真付きで掲載されている単純なレシピ本には留まりません。著者の自炊への向き合い方も読み物として紹介されています。
もう1冊。『食べつなぐレシピ』は家庭料理の本ですが、著者が経営する飲食店「按田餃子」の料理に関する本『たすかる料理』もあります。この本によれば「按田餃子の調理を、いつもの自炊のやり方の延長でやってみよう、と思いました」とのことで、2冊のエッセンスは同じです。
『たすかる料理』では、著者の生い立ち・経歴や、それに基づく考え方をより深く味わえます。
また「ある日の自炊」というコラム的なセクションでは、著者が何をどう調理して食べたのか、12日間分を垣間見ることができます。お店のメニューや簡単なレシピも、本の後半に掲載されています。
私はある日、小学生と保育園児の子供2人を連れて別居しました。それを境に食生活は徐々に変わっていきました。食卓の風景から単にモラハラ夫(料理はしないが、常に家で食事をするタイプ)が抜けただけではありません。今では買い物の仕方から、料理の算段、作る料理のバラエティまですっかり様変わりし、別の食文化に生まれ変わったかのようです。
最初はモラハラ夫の嗜好やら我がままに合わせていた部分を止めることで、自然と変化していきました。別居後しばらくして『食べつなぐレシピ』『たすかる料理』と出会い、著者が型に囚われずに自分がやりたいように料理している姿勢にホれました。 さらに「手間はかけません」「まさか、豆料理を作るようなまめまめしい性格ではない」とおっしゃる著者に、ズボラな私は大いに共感。 そこからはさらに自分がやりやすい方向・子供が喜ぶ方向へと寄せていきました。
本の中の食材を長持ちさせる方法も役に立ちました。別居前はたいてい使い切っていたのですが、料理のたびに人参を半分、あるいはシイタケを2~3個などと何かしら余らせるように……。それを忘れずに使うことが億劫だったんです。本にあった、次に使う料理を決めずともその場で食材を長生きさせておく方法、が私に合っていました。
それにたぶん食の好みが、私は著者に似ています。レシピにあった料理も色々と作りました。
その上、食費だって浮くんですから、言うことありません。
ご興味のある方はぜひご一読ください。
まとめ
お財布や体に優しく、手間もかからない家庭料理の本。
★★★★★ (今の食生活に役立てています)
コメント