子供に夫・妻の悪口を吹き込んではならない?【神話打破】

神話・誤解

子供に夫や妻の悪口を吹き込んだり、夫婦喧嘩を見せたりしてはならない

真実

DVに当たる言動を黙認・肯定せず、子供に適切な情報を与える

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本の教え

パートナーの不適切な行動については、子どもに適量の情報を与える。

 これはDV家庭(父親が加害者)の母親に、子供のケアの仕方を説く本『DV・虐待にさらされた子どものトラウマを癒す――お母さんと支援者のためのガイド』(レビュー)からの引用です。

 ただ、これを躊躇させる一般論ってたくさんあるんですよね。

  • 子供にパートナーの悪口を吹き込まない
  • 夫婦喧嘩を子供に見せない
  • 夫婦間の事情や都合を子供に押し付けない
  • 家族仲良く。夫婦仲良く

 そして、ものすごく道理にかなっている気がする……。

 しかし、これらは一般論だけに、一般家庭には当てはまるでしょうがDV家庭には当てはまらない、と捉えたほうがよいでしょう。

 鴻上尚史さんも、著書『親の期待に応えなくていい』(レビュー)で、次のように述べています。

父親に暴力をふるわれたり、虐待されて母子が一緒に逃げてきた場合以外は、子供の前で父親の悪口を言ってはいけません。

 「父親の悪口」的なことを言ってもいいんだよ、って明言している本は、ほとんどありません。

 辛うじて「子供の認識や価値観が歪められる」という問題点を指摘している本は、割と見かけます。どういうことかと言うと、たとえ父親が子供には優しく、母親だけを攻撃しているのだとしても、それが普通だと子供に思わせるのはダメだ、ということです。詳細は以下の記事で取り上げていますので、よろしかったらご参照ください。

 ただ、これだと問題点を指摘するだけで、どうしたらいいかが分かりません。一歩進めると、冒頭で引用した「パートナーの不適切な行動について、子どもに適量の情報を与える」ことが対処法になりますよね。罵詈雑言やののしりとは、別物と考えます。

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我が家のコト

 私は子供にはモラ夫の悪口めいたことさえ一切言わないのが子供にとって良いと信じていました。まあ、たとえば姉相手には、モラ夫のことをクッソミッソにこき下ろしていたんですが。

 モラハラ家庭に耐え切れず、児童家庭支援センターにて子供について相談したのですが、相談員のおかげで気づきを得たんです。重要なことをお伝えしておくと「お父さんの人格は否定はしない。冷静に誤った言動を指摘する」ように相談員に言われました(よろしかったら相談体験もご確認ください)。

 それを受けて、「モラハラ夫の不適切な行動について、私がどのように子供に情報を渡したか」を述べます。家庭問題の専門家ではないので、良いのか悪いのか、他のご家庭でも効くのか効かないのか定かではないので、ご参考までに。

 基本的な方針として、子供たちが大人になって振り返ったときに、母親である私が軽蔑されないようにしよう、と思いました。そうすると、私の言い方としては、以下のように。

  • 陰で子供に言うのではなく、モラハラ夫も子供もいる場で指摘する
  • ゆっくりと冷静に言う
  • 議論することではなく、話を切り上げることを目指す

 たとえば、モラハラ夫は自分の希望を通すために、「普通、○○するでしょ」「○○が当たり前」のように、自分の主張を一般化することがよくありました。認識を改めた私は「普通だとは思わない。○○のようなケースもある」「自分の価値観を一般化して押しつけないで」などと応答するようにしました。

 また、もともと私もモラハラ夫も、対立すると早口でまくし立てるタイプです。私がゆっくりと話すようにしたことで、モラハラ夫がアホっぽく見えました。

 さらに、言葉の応酬を長々と続けていると、子供からは「どっちもどっち」っぽく見えるかもと思い、自分が言いたいことを言ったら、さっさと切り上げようと思いました。「どうしても」とか「家事があるから」などと言って、モラハラ夫の主張を受け流すことに。聞かれたことに答える、というクソ真面目な対応は止めました。


 その結果、モラハラ夫が私を攻撃することが減りました。ただし、ヤツの意に沿って動かしやすい娘のほうにターゲットが移ってしまい、私は今でも忸怩たる思いを抱えています。モラハラ夫と対決するときは、子供の防御もいっしょに考えるべきだった。

 一方、子供は夫婦喧嘩を望む(?)ようになりました。子供が私に「お父さんに○○って言ってきて」と、こっそりとお願いにくるんです。私が「LINEで言っておく」「夜遅いから後で必ず」「お母さん疲れているから明日ね」などと応じても、すぐに相対して言うことを希望。そして、夫婦間のやり取りを盗み聞きをしていました。

 子供に理由を尋ねてみると「お父さんがわめくのが、おもしろい」と言っていました。私の解釈では、子供が父親に感じている反感を、母親(私)が言語化することで、一種の納得感や「してやった感」につながっていたのかな~、と。まあ、夫婦喧嘩は子供に見せない、っていう一般論もウチには当てはまらないな、って思いました。

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追記

 私は「鴻上尚史のほがらか人生相談」のファンなのですが、この記事にぴったりの相談が取り上げられていたので、ご紹介します(リンクは以下)。なお、人生相談の公開日(2022年8月23日)から時間が過ぎると公開終了になります。

 離婚したDV夫の悪口をいう娘たち(2人、長女は小6)への返答に悩む女性(花さん)が「鴻上先生ならどうお答えになりますか?」と質問を寄せています。女性は子供に彼らの父親の悪口を言うことを躊躇。以下、引用します。

 以前こちらの相談で不倫の末にご出産された女性からの投稿を拝見しました。

 相手の男性の方を悪く言ってない事を讃えてらっしゃり、お子さんにも父親の悪口は絶対に言ってはならないとおっしゃっていたのが印象的でした。

 子供達が父親の悪口を言われて傷つくというのも理由として挙げられておられて、ハッとした自分がいます。

 鴻上さんの回答は次のとおり。本当は全文お読みいただきたいのですが、ちょっとだけピックアップします。

僕が「父親の悪口を言わない方がいい」と書いたのは、花さんの娘さんのケースとは違います。

花さんができることは「本当にそうだよねえ。ショックだよねえ」と娘さんの感情に寄り添うことだけだと思います。

 反論するわけでも興奮するわけでも戸惑うわけでも悲しむわけでもなく、ただ「うん、うん」と娘さんの感情にうなづいてあげることが一番、大切なことだと思います。

 話は変わりますが、人生相談っておもしろいコンテンツ(っていうと語弊があるかもしれませんが)ですよね。相談者よりもむしろ回答者の人間性や価値観が垣間見えて、「お幸せな人生しか知らないんだろうな」とか、自分の胸の内でひっそりこき下ろすことも。

 一方、鴻上さんは、たぶん人生を何周も生きてきた記憶がおありなのではないかと。演劇関係のお仕事をされていることも関係あるかもしれません。鴻上さんの神回答は書籍化され続けています。よろしかったら、ご一読くださいね

表紙タイトル
鴻上尚史のなにがなんでもほがらか人生相談――息苦しい「世間」を楽に生きる処方箋

2022年8月30日発行

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鴻上尚史のますますほがらか人生相談――息苦しい「世間」を楽に生きる処方箋

2021年4月30日発行

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鴻上尚史のもっとほがらか人生相談――息苦しい「世間」を楽に生きる処方箋

2020年5月30日発行

[Amazon] [楽天] [レビュー]
鴻上尚史のほがらか人生相談――息苦しい「世間」を楽に生きる処方箋

2019年9月30日発行

[Amazon] [楽天] [レビュー]

(2022年9月5日)

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まとめ

  • DV家庭・モラハラ家庭では、パートナーの不適切な行動について子どもに適量の情報を与える
この記事で取り上げた書籍
  • DV・虐待にさらされた子どものトラウマを癒す――お母さんと支援者のためのガイド
      [Amazon] [レビュー]
  • 親の期待に応えなくていい
      [Amazon] [楽天] [レビュー]

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プロフィール

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 ある日、私は2人の子供を連れて、モラ夫から逃げて別居しました。私自身と子供を守るためです。

 私は年間100冊程度の本を読んでいます。好きなジャンルはファンタジーですが、多読しているのは実用書です。

 このサイトを訪れた方が、少しでも生活を改善したり、気持ちを前向きにしたりする情報を得られたら幸いです。

望木 幸恵

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