神話・誤解
子供は非監護親とも交流をして、両親それぞれからの愛情を感じられることが幸せ
真実
子供によっては、さみしく思わないどころか、面会交流を望まないこともある
本の教え
別居後・離婚後も非監護親と子供とが交流を持ち続けることが、離婚調停の場での原則です。当事者向けの離婚解説本や、子供向けの絵本でも、面会交流が前提となっているものを数多く目にします。
もちろん「虐待する親でも、子供と会わせよ」とは、どの本にも書いてありません。大人の立場で、毒親と子供を合わせる必要はない、という論調のものはあります。
しかし、子供自身が面会交流を望んでいるのか、子供は非監護親と会うと楽しいのか・幸せなのかと、子供視点で論じている本は、驚くほど少ないのです。「非監護親と会いたくない」と思う子供もいることが認知されないと、ふさわしくない非監護親でも母親の妨害のせいなどとして面会交流の主張が通りやすくなることが危惧されます。
ここでは子供の気持ちに言及している、本の一節を紹介します。それぞれ違う年齢の子供を選びました。
まずは『だいじょうぶ!親の離婚――子どものためのガイドブック』(レビューを読む)からです。小~中学生の子供に向けた本で、文中では「あなた」という二人称で子供に語りかけています。
該当部分を引用します。
子どもによっては、さみしく思わないどころか、面会交流を望まないこともあるのです。もしかしたら、あなた自身もそう感じたかもしれません。
これは悩ましい状態です。あなたはまだ、子どもだし、あなたの生活については周囲のおとなたちが決めています。あなたは、そんな取決めなんて不公平だし、子どもにとって何がベストなのかを考えてくれていないと感じることでしょうね。一方の家に行くときは、恐ろしいと思ったり、一人ぼっちだと感じたり、ムカついたり、興奮してしまうこともあるでしょう。
そればかりか、とても嫌なことを無理にやらされている、と感じるかもしれませんね。
次に挙げる本は、離婚する親やその子供など、当事者に向けたものではありません。法曹関係者や支援関係者に対して、DV加害男性と対峙してきた経験を持つ専門家が提言・助言を行っている書籍です。
その本『DVにさらされる子どもたち――加害者としての親が家族機能に及ぼす影響』(レビューを読む)では、もっと幼い子供の様子に関する記述があります。以下、引用です。
面会の際に加害者が子どもに心理的虐待を行うという報告は、加害者のパートナーからしばしば聞かれる。あるケースでは、父親が3歳の娘との面会中に親権を要求していることを話したため、娘はその後2年間、父親や見知らぬ人、あるいは怪物によって母親のもとから連れ去られる悪夢に苦しみ続けた。
最後にもっと大きい子供の気持ちを紹介します。
『新版 子連れ離婚を考えたときに読む本』(レビューを読む)の著者は、ご自身の子連れ離婚の経験や、家族問題のカウンセラーとして経験を踏まえて、この本を著しました。
この本には離婚家庭で育った子供へのインタビューも掲載されていますが、以下の引用は著者のお子様に関するエピソードです。
私の娘も別れた父親との15年ぶりの再会の前に「会っても話すことないし、何を話そう?」と不安気に出かけていったことを思い出しました。
「ママは面会交流を推進する活動をしているけど、離婚家庭の子どもがみんな、別れた親に会いたいと思っているわけじゃないと思うよ」という娘の言葉どおり、「会いたい」よりも「見てみたい」という気持ちが強く、実際に会ってしまうと何を話していいのかわからないし、受け入れられるかどうか不安だというのが子どもの本心なのだと思います。
私の経験
父親が子供と面会交流できない理由として、法律の不備(共同親権ではなく単独親権だから)や母親の妨害を挙げている記事を目にします。実際にそのような被害に遭っている方には心の底から同情します。
しかし我がモラ夫(元)は、子供自身が望んでいないという受け入れがたい事実をすっかり忘れて(特技)、法律・母親のせいにしていました。彼の心の安定や、周りの人への説明のためには都合が良いのでしょうが……。
まとめ
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