やらしいことはしていないから性的虐待じゃない?【神話打破】

神話・誤解

子供への性的虐待とは、性的な言動によるものがすべて。

真実

一見したところでは性的ではない関わり方でも、子供の性的な境界を侵略し得る。

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本の教え

 子供への性的虐待・性的に不適切な行為というと、どのようなことをイメージするでしょうか? 本に書かれていることをざっと挙げます。

  • 性交
  • 子供の体に触れる
    • 口、胸、性器、肛門
    • その他の体の部位であっても、自分の性的な興奮を目的として触れた場合
  • 体に触れない性的な行為をする
    • 子供の性的な写真を撮る
    • 自分の性器などを見せる
    • 性的なからかい。みだらな言葉をかける
    • 着替えや風呂を覗く
  • 性的な物事や、そうした描写があるものを子供に目撃させる(意図的でも、不作為でも)
    • 夫婦生活
    • ビデオ・写真・本など
  • 子供のプライバシーを守らない
    • 部屋や机の引き出しを勝手に開ける
    • 干渉・束縛する
  • 子供を妻・夫や恋人のように扱う

 報道されるような刑法に触れるケースは、性的虐待に当たると認識する人が大半でしょう。

 『毒になる親』では、心理学的な観点から見れば、「近親相姦」の定義は刑法で定められているよりもずっと広範だ、と述べています。実際に体に触れなくてもそうした行為によって、被害者の子供は心理的に似たような苦痛を受ける、とのことです。

 さらに、一見したところでは性的ではない関わり方や言動でも、性的に不適切な行為として挙げている本もあります。

 それどころか、家庭の外から第三者が見ると、微笑ましい親子関係や、しっかり者の子供のように見えるかもしれません。あるいは経緯を無視して、ひとつの場面・ひとつのセリフだけを切り取れば、問題を認識するに至らない可能性もあります。

 一例目を『DV・虐待加害者の実体を知る――あなた自身の人生を取り戻すためのガイド』(レビューを読む)から挙げます。本作中に両親と娘(13歳)、息子(11歳)の4人家族が登場し、パーティの支度をしてから帰って寝るまでの長いエピソードが語られます。その一部を抜粋します。文中のトムは父親、アレックスは娘です。

 出かけようとしたとき、トムはアレックスの大人びた洋服に気づき、大声で怒鳴りはじめました。「アレックス、すぐ2階へ行ってまともな服に着替えて来い。売春婦のような格好をしてパーティに行くつもりか!」

(略)

 トムはパーティで初対面の人たちに対して、アレックスを自分の「ガールフレンド」と紹介し、いかにもそれが面白い冗談であると思っているようすでした。ある親戚にはアレックスの容姿について、「彼女は実に魅力的な女性になってきていると思わないか?」と言いました。アレックスはすぐ近くにいて、恥ずかしい思いをしました。トムはアレックスが居心地悪そうにしているようすをみて、「なんだ、ほめちゃいけないのか?」と言うとまわりには笑いが起こりました。トムはアレックスを引き寄せ、額にキスをして、冗談を言って楽しませているまわりの人たちに、「アレックスはいい子だよ」と言うので、アレックスは作り笑いを浮かべるしかできませんでした。

 このエピソードに対する、著者の見解は次の通り。

所有意識

 トムはアレックスを自分の持ち物のように扱います。アレックスのパーティ用の服を決めるときのトムのやり方をみて、「トムはまだ若い娘があまりセクシーな服を着るのはよくないと考えたからだろう。それはそれでいいのではないか」と人は思うかもしれません。ところがパーティでの様子を見ると、トムはアレックスがセクシーな格好をすることには抵抗はないのです。トムが気にしているのは、アレックスがどんな服を着るのかを自分が取り仕切ることと、それが彼の好みに合っているかどうかということだけです。彼女が肌を人目にさらさないように配慮するのは、責任ある父親としての観点からではなく、むしろ嫉妬深いボーイフレンドのような気持からと言えるかもしれません。

 続いて『共依存きょういぞんかもしれない――他人やモノで自分を満たそうとする人たち』(レビュー)から取り上げます。この本は10代の若者に向けて、子供でも対処できることが書かれた「10代のセルフケア」シリーズの中の1冊です。

 「家族が性的虐待をする」というセクションで「子どもを妻や夫の代わりにするのは、家族のなかで健康的でない役割をおわされるということです」と述べています。これに当たる例を2つ、本から引用します。1つ目は父と娘、2つ目は母と息子のエピソードです。

●モニカの場合

 モニカの母親は筋ジストロフィーで、車いすの生活をしている。モニカは、ほとんどの家事と、妹や弟の世話をしている。母親の具合が悪くなるにつれて、14歳のモニカは父親の悩みを聞くようになった。二人は夜遅くまでおしゃべりをし、モニカは父親の肩をもみ、父親の好物をつくり、冗談を言いあう。父親はモニカのことを「小さな奥さん」「この家の主婦」と呼ぶ。モニカは男の子とつきあいはじめていたが、モニカは父親が嫉妬するので、男の子と電話もできなかった。父親はモニカに性的な接触をしたことはないし、そんなことをほのめかしたことすらない。けれどこの二人の関係が、モニカが異性と健全な恋愛関係を育む妨げとなっているのはたしかだ。

●ガイの場合

 ガイの両親は3年前に離婚した。それ以来ずっと母親は落ち込んでいる。一人息子のガイは、自分が母親を元気づけなければならないと思い、買いものに行ったり、そうじをしたり、車の修理をしていた。仕事はしているけれど友達のいない母親は、なにかにつけてガイをあてにするようになった。しかしガイは、母親が当然のように自分とすごすものと思っているのも、父親のことを悪く言うのもいやだった。結局、ガイは「世帯主」となり、母親のめんどうを見ている。「ぼくがいなくては母親は生きていけない」と思うからだ。

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私の解釈

 「性欲を満たすために妻や子供に性暴力を振るう?」という記事で、性欲ではなく支配欲・所有欲から子供に(妻にも)性的虐待を行うことを見てきました。支配欲・所有欲からだと考えると、ぱっと見では性的な行為ではなくても、性的虐待だと理解しやすくなりました。

 うちのモラ夫(元)は子供に泣き落としをするタイプでした。別に涙もろいわけではなく、映画を観て登場人物に共感して泣いたことなんか ありません。自分の目論見もくろみどおりに娘が行動しなかったときに、「お父さんは悲しいよ」と言って涙を流しました。

 はい、そうです。娘をコントロールするため、支配するためですね。自分を被害者ポジションに置いて、自分のためにしか泣かないヤツでした。結果的に子供は、かわいそうな父親をなだめるために、言いなりになるしかありません。

 そのとき、私はヤツに気持ち悪さを感じたんですよね。子供を叩いたと知ったときには、怒りは感じましたが気持ち悪さは生じませんでした。後で、上に挙げた本などを読むうちに、性的なキモさだったんだと思い至りました。妻である私の代わりに、娘を大人扱いして依存していたんですね。キ、キモッ。

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まとめ

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プロフィール

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 ある日、私は2人の子供を連れて、モラ夫から逃げて別居しました。私自身と子供を守るためです。

 私は年間100冊程度の本を読んでいます。好きなジャンルはファンタジーですが、多読しているのは実用書です。

 このサイトを訪れた方が、少しでも生活を改善したり、気持ちを前向きにしたりする情報を得られたら幸いです。

望木 幸恵

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